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中央官庁にもソ連の手 ラストボロフ事件 警視庁150年 38/150

産経ニュース / 2024年5月9日 11時52分

戦後、米ソ両大国の対立構造が顕在化する中、日本に対するソ連の諜報活動は激しさを増す。昭和29年に発覚した、ソ連の諜報員、ユーリー・ラストボロフによる外務省職員らを使った情報収集活動の実態は、戦後初めての大規模スパイ事件として注目を集めた。

事件は29年1月27日、ラストボロフが失踪したとして、ソ連の駐日代表部から警視庁に捜索依頼があったことから始まる。行方がつかめないまま、代表部が2月1日に失踪を発表すると、その後、外務省職員の男性が警視庁に出頭した。

警察庁警備局がまとめた『スパイの実態』によると、男性は元陸軍少佐で、終戦後ソ連に抑留され、ソ連への協力を約束することで帰国。日本の再軍備や米軍情報を提供した。2月3日、ソ連の関係者から「自殺しろ」と命じられ、恐怖に駆られて自首したという。

その後、ラストボロフは米国に亡命していることが判明。告白に基づき、米国から日本に協力者のコードネームのリストも送られてきた。

警視庁公安3課などの捜査により、ラストボロフが直接運用していた15人と、ほかの諜報員に運用されていた13人、ソ連に協力する誓約をしていた8人が判明。警視庁は自首した男性とは別の外務省職員ら3人を国家公務員法違反容疑で逮捕した。

しかし、有罪判決が確定したのは1人のみ。スパイを摘発する法律の不備や、捜査の難しさを今に伝えている。(橋本昌宗)

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