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パー券販売状況をデータベース管理、前任者から「慣例」引き継ぎ 安倍派事務局長初公判

産経ニュース / 2024年5月10日 21時27分

東京地裁で10日始まった自民党の派閥パーティー収入不記載事件の初公判。検察側は、安倍派事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)が政治資金収支報告書に記載せずにパーティー収入を議員にキックバック(還流)する慣例を前任者から引き継ぎ、漫然と繰り返していた構図を明らかにした。

松本被告は午後2時半ごろ、赤のネクタイに濃紺のスーツ姿で出廷。裁判長に認否を問われると「一部、間違いがあります」とはっきり答え、ノルマ超過分を派閥に納入せずに「中抜き」したとされる額の一部については認識できなかったとする一方、「その他は間違いございません」と大筋で起訴内容を認めた。

検察側の冒頭陳述によると、松本被告が安倍派の事務局長に就任したのは平成31年2月。その前後にあった前任者からの引継ぎで、早くも派閥のパーティー収入のノルマ超過分を収支報告書に記載せずに議員側に還流する仕組みの存在を知ったという。

その仕組みは極めて精緻なものだった。

議員に渡すパーティー券には番号を振り、振込人の名義に番号を添えて振り込ませることで、支援者がどの議員を通じてパーティー券を購入したかを把握。議員ごとのパーティー券の販売状況はデータベース管理ソフトを使って管理していた。

議員の販売ノルマも当選回数や閣僚経験を踏まえて細かく設定。改選を控えた参院議員は、ノルマを「ゼロ」として全額を還流していたほか、還流分から中抜きする議員がいることについても、前任者や事務局の職員から説明を受けていたという。

検察側の主張によると、算出された還流額の受け渡しの場所に選ばれたのは、自民党本部に近い都内の安倍派事務所。松本被告ら事務局職員が、議員の秘書らを通じて現金を手渡していた。

収支報告書は安倍派の事務局職員が原案を作成し、松本被告が了承していたとする一方、安倍派幹部や議員らが「関与することはなかった」とした。

還流「再開」の経緯、一切触れず

ただ、この日の初公判で検察側は、安倍派がパーティー収入を還流する慣例を一度中止しながら再開した経緯について触れなかった。再開を誰が主導したかは衆参両院の政治倫理審査会でも最大の焦点となったが、還流再開や政治資金収支報告書への不記載を巡る意思決定プロセスは初公判を経ても不明のままだ。

還流は4年4月、会長だった安倍晋三元首相ら安倍派幹部の会合で中止が決定。同年7月に安倍氏が亡くなり、同8月の幹部会合で再開について協議後の同年秋、再開されたとされる。

事件発覚後の今年2~3月、衆参両院は政倫審を設置。西村康稔前経済産業相ら安倍派からは、幹部ら8人が出席し、還流再開に至った経緯について聞かれた。

だが、政倫審で西村氏は8月の会合では再開について「結論は出なかった」とし、その後については「承知していない」と発言。世耕弘成前参院幹事長は再開を「誰が決めたのか私自身も知りたい」とするなど、明確な結論は出なかった。

還流開始時期についても、塩谷立元文部科学相が「二十数年前に始まったのではないか」と述べた一方、主導した人物や理由については知らないとの説明に終始した。

この日の初公判で検察側は還流について「かねて」から行われていたと表現するだけで、開始時期は断定せず、令和4年に還流が一度は中止され、再開した過程については一切触れなかった。

今後開かれる衆院議員の池田佳隆被告や参院議員の大野泰正被告らの公判でも、同様の立証が踏襲される恐れがある。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)

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