＜朝晴れエッセー＞それでも、私は諦めない

私たち夫婦は還暦を過ぎた頃これからの人生を話し合った。今後の10年間、悔いのないよう人生を彩っていこうと。ところがいつの間にか60歳も半ば、その後は想定外のコロナで再び数年があれよこれよと過ぎ去り、結局私は古希を迎えた。

70歳という実感よりも次に迎えるは80歳。もう背水の陣で挑まなければ!　焦燥感だけが最高潮を迎えていた。

そして動き始めた第一歩。何十年ぶりにマックへ行きバーガーを頰張りポテトもパクッ!　やっぱりおいしいなあと感じつつも夜は胃が重くため息とともに夫婦で夕食を抜いた。次に訪れたのは何十年ぶりの大型遊園地。やっぱり乗りたくなったのが地上50メートルを超える空中ブランコ、眺めているとあまりに気持ち良さそうで無性に爽快感を体感したくなった私。

しかし夫は頑として乗らず一人きりで挑戦!　それは爽快感どころかかつて体感したことのない強風にあおられ目はくるくる回り気持ちは悪く「助けてくれ～下ろしてくれ～」。絶叫した。

夜に足がつりホテルの温泉で温まるも夜中に再度足がつり心底参った。これほどまでに年齢を実感させられるとは…。帰ってしばらくすると、喉元過ぎればで、次はボウリング?　それにしてもボールが重そう。

那賀川恵子（70）　徳島県小松島市