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堺市の小学校は授業をやりすぎか 国の基準を大幅超過 「不登校増加」の要因と指摘も

産経ニュース / 2024年5月4日 20時40分

「堺市の小学校は授業をやりすぎているのではないか」。昨年末の同市議会でこうした指摘があがった。同市立小では、新型コロナウイルスの感染防止を目的に行事を授業に置き換えたことで、低学年を中心に年間授業時間が国の基準を大幅に超過。不登校増加の一因との指摘まで出ている。市教育委員会は児童の負担軽減に加え、教員の働き方改革を念頭に改善を図るとしている。

文部科学省は学校教育法施行規則で、年間の授業時間の基準(標準授業時数)を定めている。市教委によると、小学1年生の基準850コマ(1コマ=45分)に対して、同市は平均約940コマと約90コマ超過(令和4年度)。100コマ以上超過した学校も4割近くあった。2年生も平均約80コマ超過。長期休みなどを除き授業は年間約35週とされるため、1、2年生では毎週2コマ以上超過している計算になる。

低学年よりは超過幅が小さいが、小3~6年生も平均約50~70コマ超過していた。文科省は4、5年生の全国平均(3年度)を公表しているが、同市はこれを約40コマ上回るなど全国的に超過幅は大きい水準にある。

低学年に顕著

超過幅増大の要因はコロナ禍だという。コロナ禍の令和3~4年度は、コロナ前(平成28~30年度)に比べ、1、2年生の超過コマ数が約20~25増加した。市教委は「感染拡大防止のために減らした学校行事を授業に置き換えたためと考えられる」とする。

また、低学年での超過幅が大きい理由について「高学年は午後の授業をカットして授業時間を抑制できるが、午後の授業が少ない低学年では難しいため」と話す。

市議会でこの問題を取り上げた渕上猛志市議は「堺市では低学年の不登校が顕著に増えているが、コマの超過が低学年に多いことも要因だ。体力的に厳しい1、2年生には、授業時間の超過が負担になるのは当たり前」と指摘する。

教員の働き方改革に逆行

授業時数の多さは学力向上が期待される一方で、教員の働き方改革を進めるうえでは全国的な課題になっている。昨年8月、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」(中教審)の特別部会は、教員不足解消に向けた緊急提言で「標準授業時数を大幅に上回っている教育課程を編成していた学校は、見直すことを前提に点検を行う」ことを求めた。

文科省によると、標準授業時数は学習指導要領をこなすために必要と考えられる授業時数。これを参考に各校の校長が教育課程を編成する。編成は各校の実情に合わせて行うとしている。堺市教委は今年1月、市立小中の校長に通知を出し、教職員や児童、生徒の負担軽減のため年間60コマを超過しないよう求めた。5年度実績は集計中だが、超過コマ数は減少傾向にあるという。

堺市教職員組合の幹部は「十数年前から厳密に授業時数を確保することが求められる運用になった。子供たちの負担などを考えると時数だけにこだわりすぎるのも本質的ではない」と話す。災害や感染症など不測の事態が起きても標準授業時数をクリアできることを重視した結果、コロナ禍以降にさらに超過コマ数が増幅した格好という。

文科省の担当者は、結果的に標準授業時数を下回っても「そのことのみをもって施行規則に反するとは考えていない。不測の事態に備えることを過剰に意識して、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成する必要はない」としている。(木津悠介)

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