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豪快に炒める懐かしの〝ソウルフード〟に再び脚光、那珂湊焼きそば 茨城・ひたちなか ~自慢の推し麺~

産経ニュース / 2024年5月10日 10時0分

太平洋を臨む茨城県東部の漁業のまち・那珂湊(ひたちなか市)。その名を冠した焼きそばを生み出した一人が、大衆食堂「住よし」(現・喰い道楽すみよし)の初代店主、川上富雄さん(平成26年、96歳で死去)だった。

「那珂湊の知り合いの製麺所の社長が、東京で初めて食べた焼きそばの麺を自分で試作。うちへ鉄板と麺を持ち込み、父に焼きそばを作ってもらったそうです」。川上さんの次女で、夫の高安泰二さん(65)とともに2代目として店を切り盛りする澄江さん(65)は語る。

安価でおいしい焼きそばは、那珂湊に寄港する漁船の乗組員や、地元高校生らのファストフードとして定着。他店にも広まったが、時代とともに立ち寄る船は減り、焼きそばを扱う店も一時は2~3軒に減った。

懐かしの味が再び脚光を浴びたのは、平成23年発生の東日本大震災の後だった。一般客が買い物をする市場も津波の被害を受け、地元のにぎわいが失われると、泰二さんらは「〝ソウルフード〟の焼きそばでお客を呼び戻そう」と思いつく。

「名前も、単なる焼きそばでは弱い」と、6年の合併によるひたちなか市誕生で消えた旧那珂湊市の名を加えた。10店でスタートした「那珂湊焼きそばのれん会」は、「那珂湊焼きそば大学院キャンパス会」と名を変えた現在、地元で約20店に拡大。隣の水戸市や大洗町の店も加わっている。

会は、ひたちなか市が出資する第三セクター、ひたちなか海浜鉄道の活性化にも一役買った。「鉄」道に乗り、「鉄」道模型を楽しみ、「鉄」板で作る焼きそばを食べて路線を盛り上げよう-という地元有志らの「三鉄ものがたり実行委員会」の催しに、泰二さんらも焼きそばの差し入れなどで協力してきた。

今年3月には一時存続も危惧された同鉄道の延伸計画が国に認可され、「まさかここまで来られるとは」と泰二さんらを喜ばせた。

他店では牛肉やイカなども加えるが、澄江さんが調理する那珂湊焼きそばの主な具材はキャベツとモヤシのみ。ラードで炒め、ラーメン用の豚骨スープを加えて味の深みを出し、最後にウスターソースをかける。

「先日、来店は高校生のとき以来という女性2人が『43年ぶりなのに味が変わってない』と涙目で喜んでいた。だから、うちはキャベツとモヤシしか入れないよ!」と澄江さんはうなずいた。(三浦馨)

喰い道楽 すみよし 茨城県ひたちなか市湊中央1の5の12。メニューは定番の「ソース焼きそば」(中605円、大715円、特大880円)と、地元産の特製しょうゆを使う「しょうゆ焼きそば」(中825円など)のほか、海鮮料理も多数。営業時間は、平日が午前11時~午後3時(午後3時~6時はテークアウトのみで要予約)、土日が午前11時~午後5時。火曜定休。【問】029・262・3551。

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