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「障害者の出会いアプリ」3万人突破 カップル成立!ADHD女性の思い 近ごろ都に流行るもの

産経ニュース / 2024年4月20日 13時0分

ログイン画面には、車椅子のモデルを起用(IRODORI提供)

障害者に特化した恋活・婚活マッチングアプリ「IRODORI(いろどり)」の利用が広がっている。昨年7月の開始から9カ月で3万ダウンロードを突破、150組以上のカップルの縁を結んだ。「人間関係や恋愛に臆病になっている人たちも、ありのままの自分でパートナーを探してほしい」と、都内在住の会社員女性が開発した。利用者で最も多いのが、外見や学力からは判別しにくいADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害者を含む精神障害者だという。

同性同士の〝友活〟機能も追加

開発者の結城伊澄(いずみ)さん(32)は、薬学部を卒業後製薬会社に勤務。営業先の精神科医を通じて、患者にとって「最初の会話」と「障害を打ち明ける不安」がコミュニケーションの壁となり、閉じ籠もりがちになっている現状を知った。

「私自身もADHDの可能性を指摘されたことがあり、孤独で辛い時期があった。同じ悩みを抱えた人たちがスマートフォンでつながり、前向きに心を開いて人生を好転させるマッチングアプリをつくりたい」

専門家の力も借りて、1年以上をかけて構築したアプリは入会・利用ともに無料だが、なりすましや冷やかしを防ぐため障害者手帳の提示を求めている。軽度の人はお薬手帳。障害への理解がある健常者も利用でき、その際は運転免許証などで身元確認を行う。

ユーザーは30代が中心で、発達・精神障害者のほか、軽度の知的障害者や身体障害者も参加している。性別に関わらず趣味などの関心ごとに集まれるグループチャットや音声通話機能があり、そこから発展した「女性同士で悩みや情報、日常の出来事を共有したい」との声を受けた女性用〝友活〟機能も追加。これまでに延べ6千人がアプリ内で個別にチャットできる「マッチング」段階に進んでいる。

利用はニックネームなどの匿名でOK。5年前にADHDと診断された女性(30)のケースを取材した。

「幼少期から注意力がなくミスや遅刻はしょっちゅう。起床から10分刻みでアラームをかけて、今何をすべきか確認するなど対策はしていました。診断を受けて、『うっかり』とか『天然』で済まされてきた行動の原因が判明して腑に落ちるとともに、同じ境遇の人に会いたいと思った」

発達障害の人が集うバーに通い、そのコミュニティーで教えてもらったこのアプリをダウンロードした。

「みんな何かしら抱えているものがある。自分はこういう障害がありますって告げたとき、そうなんだって、すごく自然に受け入れてくれる人たちがいて、とても優しい場所でした」

2~3日に1回はアプリを開き、ライブ機能も使って多数の男女と交流。100人ほどから「いいね」をもらい、活動3カ月目に4歳上のASD(自閉スペクトラム症)の男性とカップルが成立して退会した。

「相手も私と同じように、障害を持っていることを知らずに悩みながら生きてきた。美術という共通の趣味と、子供はあまりいらないという結婚観が同じなことが、決め手になりました」と語る。

IRODORI利用者は決して特別な人たちではない。この女性自身、障害への最初の気付きは教員免許取得を目指していた大学時代、特別支援学校の生徒の特性を勉強するなかで「(発達障害が)自分に当てはまる」と感じた。教職をあきらめアパレル店員や派遣の事務職に就いたが、「同時進行の仕事が増えると許容量を超えてパニックになり、やっぱり1度病院で診てもらおうと…」。

現在は障害者雇用でクリニックの助手をしている。「特性を理解してもらえる環境で働きやすい。障害が分かる前は周りに合わせようと一生懸命になりすぎて、鬱になっちゃった。無理しすぎないことが大事だなと思っています」

それは生き辛さを抱える誰にもあてはまる。虚勢を張る必要もなく、素のままでいられる場所は必要だ。デジタル社会の象徴でもあるアプリが、素朴な心のよりどころになっていた。(重松明子)

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