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市民参加で4百種超の生物図鑑作成 国内初の定着確認「タケオオツクツク」も 埼玉・川口

産経ニュース / 2024年5月11日 10時0分

412種の生物が掲載された「川口いきもの図鑑」=令和6年3月、埼玉県川口市役所(昌林龍一撮影)

埼玉県川口市は、市内に生息する412種の生き物の写真を掲載した「川口いきもの図鑑」を初めて作成した。同市は東京都に隣接しながらも、荒川河川沿いなどに多くの自然が残り多様な生態系が築かれている。図鑑には国内初の定着が確認された中国原産のセミも掲載。川口市は中国系住民が多いことで知られているが、セミの定着に影響しているのだろうか。

市民が撮影した生物写真も

図鑑は、市の生態系調査と、市民参加型「川口いきもの調査」で市民が撮影した生物の写真などを掲載し名称と特徴を説明している。身近で見られる生き物を紹介することで子供たちが自然環境や生命を大切にする心を育むとして企画した。昆虫の掲載数が253種と多いのが特徴だ。

B5版フルカラー全52ページで、5000部を発行(無料)。公民館や図書館などの公共施設や市内の小学校、中学校、高校に配布したほか、市ホームページからダウンロードできる。

中国原産のセミはなぜ?

埼玉県生物多様性センターによると、絶滅のおそれのある生物に関する保全状況などを記載した埼玉県レッドデータブックの2018年度版で、県内の全生物1万2375種のなかで、昆虫は1万1006種。担当者は「埼玉県は比較的昆虫の種類が多いのが特徴」と指摘する。川口いきもの図鑑の中では、平成30年に国内初の定着確認された中国(浙江省以南)が生息地のタケオオツクツクの存在が興味深い。日本のツクツクボウシのように「オーシンツクツク(ツクツクボウシ)」とは鳴かないで、日没前後に「グィーン、ギリギリ」と鳴く。

全自治体中トップの中国系住人

タケオオツクツクについて市自然保護対策課の担当者は「中国から持ち込んだ竹のほうきに卵が付着し、それが(川口市で)成長して定着したという説が有力です」と説明する。住民基本台帳による令和6年1月1日現在の同市の中国出身者の数は2万4193人。卵が持ち込まれたルートの詳細は解明されていないが、「(出入国在留管理庁)在留外国人統計の令和5年6月時点では、川口市は政令指定都市を除いた全国の市区町村の中では最も多い数の中国出身の方が住んでいます」(市企画経営課)。中国からの輸入ほうきに卵が付いていただけなら全国でもタケオオツクツクの存在が確認されるはずで、最初に川口市で定着確認されたことと中国人在留者が多いことを関連づけても不自然ではない。

生物多様性は現在の重要課題

図鑑にはこのほか、希少な生物としては、県蝶に指定されているミドリシジミやカモの仲間のヒシクイが掲載されている。ミドリシジミは幼虫のときにハンノキの葉を食べ、ヒシクイは川辺に生えるヒシの実を好むことから「川口市は荒川などの河川が近いことで、どちらの草も多いことで両種が生息するのではないか」(市自然保護対策課)とみている。

図鑑の巻頭に寄せ書きし昆虫好きを公言している同市の奥ノ木信夫市長は「生物多様性の保全や回復が現代の地球規模の重要課題。(そのためには)生き物に興味を持ちいたわる気持ちを持つことが大切です」と市民に呼び掛ける。(昌林龍一)

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