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京都国際、夏の甲子園初V「もう1人のキーマン」 アルプスに降臨したラッパー部員の夢

産経ニュース / 2024年9月5日 9時30分

甲子園球場のスタンドから声援を送る京都国際野球部2年、山下拓摩さん=兵庫県西宮市

夏の甲子園で初優勝し、大きなニュースとなった京都国際。チームを牽引(けんいん)した左腕の二枚看板の活躍が記憶に新しいが、即興のラップでアルプス席を盛り上げた野球部員をご存じだろうか。2年生の山下拓摩さん(17)。シチュエーションに応じた当意即妙なラップが交流サイト(SNS)で話題を呼び、注目を集めた。今は野球とラップの二刀流、そしていつかは―。果てしない夢を語った。

「5回終了 攻めるガンガン 席はパンパン 熱いサンシャイン」「全力応援で勝利に誘導 勝ち続けて絶対優勝すんぞ!」

3回戦のクーリングタイム。京都国際の応援団を紹介するテレビ中継に映った山下さんは、渾身(こんしん)のラップを披露した。チームや球場の状況をうまく表現した即興ラップは瞬く間にSNSで拡散され、注目を集めることになった。「(反響は)予想していなくて、うれしいです」。照れくさそうな笑みを浮かべた。

大阪市住之江区出身で、小学1年で野球を始めた山下さん。ラップに出会ったのは中学時代で、兄弟が聴いていたのがきっかけだったという。

「野球がしんどい時期にも、ラップ音楽に支えられた」。音にのせて軽やかに言葉を紡ぐ姿に衝撃を受けた。中学2年のときには、将来の夢を「ラッパー」と決めた。ラッパーという職業に、初めは両親から反対もされたが、率直に熱意を伝えて説得したという。

ラップの腕を磨くため、大阪・心斎橋でラッパーが経営するアパレルショップに通っては、アドバイスを受けた。周りのラッパーから「腕がある」と声を掛けられたことが励みとなり、開催されるMCライブにも足しげく通った。

野球にも全力だった。さらなる成長を目指し、中学卒業後に強豪校の京都国際に進んだ。今夏の甲子園でのメンバー入りを逃したが、それでも得意のラップでチームに貢献したい。そんな思いにかられ、スタンドから声援を送った。

磨いてきたラップは小牧憲継監督の「公認」(山下さん)。即興ラップを披露すると、確かに応援は一層盛り上がった。「緊迫した雰囲気の試合でも、自分のラップでみんなの気持ちがほぐれれば」

ついに迎えた決勝戦。京都国際の優勝が決まると、歓喜の輪の中にいた山下さんは、仲間に見守られながらラップを披露した。「今さっき決まった国際の優勝 京都に優勝旗持って帰ることに成功したぜ」。その目には涙が浮かんでいた。

自分らしいラップを紡ぐため、野球も手を抜く気はない。「来年の夏は、甲子園で自分が野球をできるようになりたい」。やはり選手である以上、グラウンドに立って野球がしたい。今は仲間の快挙が何よりの刺激だ。「野球を高校までやりきることが、自分だけのラップを作ることにつながると思う」。そう胸を張る山下さんが、さらなる飛躍を誓った。(堀口明里)

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