相次ぐインフル治療薬の供給調整で〝買い占め〟懸念 「過剰発注控えて」厚生労働省
産経ニュース / 2025年1月10日 12時32分
インフルエンザの患者数が過去最多となり、治療薬の供給調整が相次いでいることから、厚生労働省が過剰な発注を控えるよう促す事務連絡を各都道府県に出したことが10日、明らかになった。代表的な治療薬「タミフル」のジェネリック医薬品(後発薬)は在庫の逼迫で一時供給を停止しており、薬局や卸売業者では他の薬の確保を急ぐ動きが広がる。ただ、こうした〝買い占め〟は、在庫の偏在を招いて必要な患者への供給を難しくする懸念がある。
国内の令和6年度のインフルエンザ治療薬供給は昨年9月末時点で2432万5千人分が予定されており、前年の供給実績量より約969万人分多い計画だった。
ところが、流行が拡大する中で医師がタミフルを処方した際に、薬局の窓口などで薬価の低い後発薬が優先されて販売されたことで、在庫を抱えておこうとする薬局や卸売業者から沢井製薬の後発薬への発注が集中。同社は今月に入って一時的に出荷を停止した。6年度の供給計画では計260万人分を予定していたが、「想定を上回る需要が継続し製造が追いついていない状況」という。
別の治療薬を供給する企業の関係者は、沢井製薬の一時停止で「医療機関や卸売業者、薬局による買い占めがおきて供給調整が連鎖する」と予測する。需要の高い薬が供給停止となると、大手の薬局チェーンや卸売業者が同じ効能や特徴を持つ薬を確保しようと注文を増やすが、製薬企業側はそういった大手薬局などに在庫が偏在したり、流行終了後に大量返品されたりするのを防ごうと出荷量を制限するためだ。
今回も沢井製薬の出荷状況を受け、「タミフル」を発売する中外製薬と経口薬の「ゾフルーザ」を発売する塩野義製薬が9日にそれぞれ限定出荷を始めた。
このため厚労省は各都道府県を通じて卸売業者や医療機関、薬局に対し「返品が生じないよう過剰な発注は控え、当面の必要量に見合う量のみ購入をお願いしたい」「他社製品や代替薬の使用について考慮していただきたい」などと協力を求める事務連絡を出したが、10日も東和薬品の後発薬が限定出荷となった。
ただ厚労省の担当者は「いますぐインフルエンザの薬が手に入らない状態ではない」とする。吸入型の「イナビル」などもあるからで、今年度に約999万人分の供給を計画している第一三共は「現時点で供給への影響はない」とする。沢井製薬の後発薬も昨年末から増産を続けており、カプセルは2月上旬、ドライシロップは1月下旬に供給再開する予定という。
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