インドネシア女子代表監督就任の望月聡氏インタビュー「環境を整えたい」と意気込み語る 北川信行の蹴球ノート
産経ニュース / 2024年5月7日 11時0分
2011年のサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で初優勝した女子日本代表「なでしこジャパン」。国民栄誉賞も受賞したチームのコーチを務めた、びわこ成蹊スポーツ大学教授の望月聡氏(59)が今春、インドネシア女子代表監督に就任した。男子のU-23(23歳以下)アジアカップで韓国を破って4強入りするなど進境著しいインドネシアはサッカー熱が高く、人口も多いことから、大きな潜在能力を秘めているとされる。そんな「未完の大国」で女子サッカーの将来を託された〝世界一のコーチ〟が単独インタビューに応じ、「インドネシアの女子選手がサッカーに打ち込める環境を整えていきたい」と抱負を語った。
有力者の会長が女子発展に本腰
「昔から海外で指導者をしてみたいと思っていた」という望月氏。今回は日本サッカー協会のサポートを受ける形でインドネシアからのオファーを快諾した。びわこ成蹊スポーツ大学は休職する形でインドネシアに赴任。契約期間は当面は2年だが、インドネシアの女子サッカーを取り巻く環境を抜本的に改善していくような取り組みも期待されている。
インドネシアサッカー協会の会長は、かつてイタリア・セリエAの名門インテルミラノを買収したことでも知られる大富豪のエリック・トヒル氏。望月氏によると、政財界に太いパイプを持つ有力者であるトヒル氏は男子だけでなく女子サッカーも長期計画で発展させると本気で宣言してくれているのだという。
実際、望月氏はフル代表のほかに、U-20(20歳以下)やU-17といった育成年代の代表チームの指揮も任されることに。6日にインドネシア・バリで開幕し、ホスト国として出場するU-17アジアカップがインドネシア赴任後初の国際大会となる。「活動自体は既に始まっています。(育成年代も)同時に見てくれと言われて、やりがいがあります」と望月氏。
インドネシアの女子サッカーの現状については「日本に比べると、まだまだ環境は整っていません。いつでもどこでも身近にサッカーができる環境が日本にはありますが、インドネシアの女子は男子と交じってプレーしている状況ですね。国際サッカー連盟(FIFA)ランキングも100位台(109位)ですし、そこを上げていかないといけません。そのためには10年計画でコツコツとやっていかないといけません」と解説する。
女子リーグも整っていない。インドネシアの国内リーグは日本のJリーグなどと同様に、新型コロナウイルス禍で大きなダメージを受けた。男子は復活したが、女子は休止状態が続いているそうで「代表監督が管轄するところではないかもしれませんが、女子のリーグが立ち上がれば変わってくるのかなと思っています」と期待を寄せた望月氏は「リーグをつくるのと、環境を変えていくのを来年にかけてしっかりと整えていきたいと思っています。やはり、練習する場所とともに毎週、試合をすることも必要なので」と言葉に力を込めた。
9月に育成年代の日本遠征を計画
将来の目標については「10年後、2035年にアジアの壁を突破して女子W杯に出場すること」ときっぱりと話す。そのために、日本サッカー協会で指導者のインストラクターを務めてきた経験も生かし、広い国土を回って講習会を開催するなどし、指導者を育てるようなことも手掛けたいのだという。
9月にはU-17、U-20の育成年代を中心とした選手を集めて日本に遠征することも計画。トレーニングのほか、練習試合も多く組む予定で、WEリーグのセレッソ大阪ヤンマーレディースに所属するインドネシア代表FW、ザーラ・ムズダリファも日程が合えば参加してもらいたいと考えている。「(育成年代のチームなので)試合だけではなく、日本の文化も体験してもらいたいと思っています」と熱望する。
男子のU-23アジアカップで4強入りしたことで、インドネシア国内は熱狂に包まれたといい「サッカーが一番人気の国。男子でこれだけ盛り上がるのだから、女子も頑張ってサポーターを増やしたいと思っています」と話す。男子のインドネシア代表を率いるのは韓国人の申台龍(シン・テヨン)監督。望月氏と同じように年代別代表の指揮も執る。
望月氏は「指導者もそうですが、(インドネシアにルーツを持つ)優秀な選手も海外から集めています。どんどん入れていこうというオープンな考えを持っています。また、インドネシアは国土が広く、国内にもいろんなタレントを持った選手がいます。サッカー界からは早く環境を変えたい、日常を変えたいという熱意を感じます。それもやりがいですね」とインドネシアの〝可能性〟と〝本気度〟にも心を躍らせている。
スマートな望月氏に期待
一方、インドネシア女子サッカー界のパイオニア的存在であるザーラは望月氏の代表監督就任をどう捉えているのか。セレッソ大阪ヤンマーレディースでの練習後に尋ねてみた。
まず男子のU-23インドネシア代表の躍進について「インドネシアは長い間、五輪に出場できていませんし、五輪出場まであと一歩のところまでいったのは驚きでした。試合内容ももう少しでした。(大陸間プレーオフを制して)五輪に出られたらインドネシア国内は大変な盛り上がりになると思います」と話したザーラは「女子はこれまで代表活動は活発ではなかったですが、再開されれば貢献したいと思っています」と自身の立場を説明。望月氏の就任については「私自身まだ会っていないですが、とてもスマートな指導者だと聞いています。インドネシアの女子サッカーをより発展させてくれることを期待しています」と希望を話した。
(サンケイスポーツ編集委員)
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