日本酒 チリで市場開拓 レストラン関係者にPR 現地品評会SAKE部門も盛況
食品新聞 / 2025年1月10日 15時53分
チリで日本酒の市場開拓が着実に進んでいる。このほど現地で開催された「カタドール・コンペティション」の「SAKE部門」表彰式(昨年11月23日)に先立ち、有力なレストラン関係者を対象にしたセミナーと試飲会を実施、出品酒97点(日本酒79点、リキュール・焼酎ほか18点)が提供された。開催をサポートしたBe-Bridger社の小泉和貴代表によると、参加者からは「日本酒の特長や味わいを知れる学びの機会になった」と好感触を得た。
「カタドール・コンペティション」はワインを中心に南米で最も影響力の大きい品評会とされる。日本酒を主体にした「SAKE部門」は2021年に始まった。今回は前年(54点)を大きく上回る97点が出品されたなか、八戸酒造の「陸奥八仙 貴醸酒」が最高金賞、今田酒造本店の「富久長 八反草 純米吟醸」が特別金賞を受賞した。審査にはチリや欧米のワインソムリエ、バーテンダーのほか、新たに日本酒輸出協会の松崎晴雄会長(SAKEマーケティングハウス代表)も参加。
表彰式を控えた11月14日、日本国大使公邸に出品酒を集め、レストラン関係者約40人を招いてセミナーと試飲会を行った。参加者は現地インポーターが厳選した主要レストランのオーナーやシェフ。「5年、10年先を見据えて新しい市場を開拓して欲しい」(小泉代表)との観点から、酒類の品質管理や提供方法に理解の深い飲食店関係者に限定した。
セミナーでは南部美人(岩手県二戸市)の久慈浩介社長が日本酒の基礎知識を説明した後、日本酒輸出協会の松崎会長がテイスティングとペアリングを紹介。特長が異なる5種類(スパークリング、低アル甘酸系、華やか系、生酛山廃系、熟成酒系)の日本酒とフードの食べ合わせに参加者は興味津々だった。続いて出品酒97点を一堂に揃えたBtoB試飲会が行われた。
手応えは上々だ。現地参加した嘉美心酒造(岡山県浅口市)は、今秋からチリに新規で輸出を始めたが、試飲会でアピールした効果も手伝い追加注文が続いているという。
現状、南米に向けた日本酒の輸出額(23年)はブラジルが約2億円と一定の規模を有するが、チリは約500万円にとどまる。とはいえ久慈社長は「チリの和食レストランはハイレベル。そうしたお店は良質な地酒を求めている」、松崎会長は「食材が豊富で日本酒と親和性がある。日系人が多く親日的」と将来性に期待を寄せる。
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