群馬製粉 BG無洗米加工装置が稼働 生産性、高品質、環境対応を実現
食品新聞 / 2024年3月25日 13時33分
群馬製粉はこのほど、穀粉業界で初めてBG無洗米加工装置(東洋ライス製)を群馬県渋川市の本社工場に導入した。装置の能力は毎時約3tで投資額は2億円。原料となる米の無洗米加工に利用する。新たな設備により品質や生産性が向上し、大量に生じる米のとぎ汁が抑えられることで環境負荷低減も実現する。同社では加工食品向けの米粉や和菓子店に対してモチ米を製造販売している。初年度は米粉の全品目中1~2割を、モチ米では2割をBG無洗米に切り替える予定。その後も徐々にBG無洗米の比率を高める考えだ。
同社では玄米を仕入れて自社で精米から製粉までを行うワンストップ製造を行っており、原料輸送時に発生する時間や費用を抑え、高鮮度の米粉供給を手掛けてきた。製粉方法はでんぷん損傷を抑えられる湿式製法によるもので、菓子になる際に膨らみやすく、くちどけも優しいと顧客から支持されている。
一方、洗米時に発生するとぎ汁は処理コストがかかるだけでなく環境にも影響することが、長年の課題になっていた。無洗米加工では肌ぬかを除去できるため、製造時にとぎ汁を出さずに済む。米粉を製造する際に後工程で使用する水も少なく、吸水速度が向上したことで浸漬工程の時間は半分程度に短縮。肌ぬかの酸化による劣化を抑えられるとともに、洗米時に旨み成分の流出も防げる。
山口博之社長(群馬製粉)もち米の浸漬時間も従来の約12時間から6時間程度に。和菓子店にとっては生産性が高まり水道代なども抑えられる。米肌を傷めずに肌ぬかを除去することから米の白度が向上し、菓子などに加工した際には商品価値を訴求できるのも強みだ。
同社ではJETROを通じて海外の展示会にも積極的に出展。欧州やアジアを中心に徐々に米粉製品の輸出も増えている。BG無洗米加工装置を導入したことで環境に対応した商品化が可能になり、SDGsなどに関心の高い海外市場に向けてアピールできる。
山口博之社長は「これまで米粉を製粉するには洗米し、ぬかを洗い流さなければならなかった。モチ米も和菓子店がぬかを落とし長時間の浸漬が必要だった。当社ではステークホルダーの負担を減らし、環境にも配慮された新たなフローを構築した。物性試験を重ねて顧客の理解を得ながら2年後をめどに全品目をBG無洗米化していきたい」と語った。
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