味の素 温室効果ガス削減へ鹿児島県と協定
食品新聞 / 2024年4月10日 14時46分
味の素は4月2日、肉用牛・乳用牛飼養における温室効果ガス(Greenhouse Gas=GHG)の削減や産業振興を図るべく、鹿児島県(塩田康一知事)および県内畜産関係団体等と連携協定を締結したと発表した。
牛の糞尿やげっぷに含まれるメタンや一酸化二窒素など牛の生育に関わるGHG排出量は全世界の排出量の約9.5%を占め、地球温暖化の原因の一つとして喫緊の課題となっている。日本有数の畜産県である鹿児島県では県のGHG排出量の約2割が畜産由来、そのうち約6割が牛由来を締めている。
味の素の「AjiPro®-L」を活用した場合、乳用牛では余分なアミノ酸を多く含む大豆粕などの飼料を減らす一方、飼料中のアミノ酸バランスを整えることから乳量を維持しながら飼料コストを削減。さらに糞尿中の余剰な窒素を減らし、一酸化二窒素を削減する。同じく肉用牛では乳用牛の方法に加えて、肥育段階で「AjiPro®-L」を飼料に加えることで、飼料中で最も不足しやすいアミノ酸の一つ、リジンを補い体内で利用されるアミノ酸の量を増加させる。その結果、肥育日数の短縮や枝肉重量の増加が見込め、単位重量当たりのメタンと一酸化二窒素両方の削減や生産コストの削減につながる。
今回「AjiPro®-L」を活用したソリューションでは鹿児島県・県内の畜産関係団体・畜産事業者等と連携して県内に普及させることで肉用牛・乳用牛起因のGHG排出削減と畜産事業者の収益改善を図っていく。今後はCO2等のGHG排出削減量や吸収量を売買可能なクレジットとして国が認証するJ-クレジット制度を通じたカーボンクレジットの活用や畜産事業者へのインセンティブの仕組みづくり、県産牛肉や生乳の付加価値向上に向けた取り組みなどについても検討する意向だ。
なお、参加表明した畜産関係団体・畜産事業者、大学、金融機関(五十音順)は次の通り。【畜産関係団体・畜産事業者】鹿児島県農業協同組合中央会、鹿児島県経済農業協同組合連合会、鹿児島県酪農業協同組合、カミチクファーム、ナンチク、水迫ファーム、森ファーム、うしの中山【大学】鹿児島大学共同獣医学部【金融機関】鹿児島県信用農業協同組合連合会、鹿児島銀行。
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