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40歳サラリーマン、衝撃のリアル「初職の不遇さが、その後のキャリア人生や健康問題にまでに影響する」受け入れがたい無理ゲー社会の実情

集英社オンライン / 2023年7月12日 17時1分

たまたま就職する時期が悪かったというだけで、「つじつまが合わないことだらけで腑に落ちないキャリア人生」を余儀なくされている今の40代。そんな彼らに予期せぬ変化がまだまだ訪れるという。『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』 (ワニブックスPLUS新書)から一部抜粋・再構成してお届けする。

「主観的健康」が圧倒的に低い氷河期世代

あなた自身に起こるであろう「予期せぬ変化」についてお話ししておきます。

「最初の出だし=初職の不遇さが、その後のキャリア人生や健康問題にまで影響を及ぼす」という、厳しいリアルです。

個人の健康が景気や失業率といった社会状況に影響を受けることは、世界中でコンセンサスが得られていて、国内でも1990年代後半のバブル崩壊以降、働く人たちの主観的健康感が悪化していました。



しかしながら、キャリアのスタート時の景気動向が、その後の健康にどのように影響するかはわかっていませんでした。そこで一橋大学経済研究所の小塩隆士教授が、厚労省の「国民生活基礎調査」のデータに含まれる健康に関する項目を用いて分析したところ、氷河期世代には特有の傾向があることが分かりました。

バブルの崩壊により、1990年代後半からどの世代の「主観的健康」も悪化していたのですが、就職氷河期世代はそれ以前の世代に比べて主観的健康が低くなっていました。しかも、2010年代に入り景気が回復しても、氷河期世代は他の世代に比べて健康の改善が鈍く、低い状態が続いていたのです。

例えば、主観的健康を「最も悪い」「よくない」と評価するリスクは、男性で1・25倍、女性では1・16倍も高く、入院のリスクは、氷河期世代はそれ以外の世代に比べて、男性では1・29倍、女性では1・15倍です。つまり、氷河期世代はキャリア面だけでなく、健康面でも最初の不利な状況が中年期にまで影響するという「絶望」が認められたのです。主観的健康とは、「あなたは健康ですか?」という質問への「私」の答えです。

例えば、糖尿病などを患っていても「私は健康です」と答えれば主観的健康は高い。一方で、なんの病気もなくても「あまり健康じゃない」と答えればその人の主観的健康は低いと評価されます。私も調査研究でよく使うのですが、主観的健康はダイレクトにその後の「健康状態」に強く影響します。主観的健康の高い人ほど寿命が長く、病気の回復が早まります。「病は気から」というように、「私」が「私の健康」をどう知覚するかは、私たちが考える以上に重要なのです。

その「主観的健康」が氷河期世代は低い。「景気が悪い→採用を抑制する」といった企業側の判断が、個人の人生の主観的健康にまで影響を及ぼすとは、実に罪深いことを企業はしてしまったのだと怒りすら覚えます。

しかし、変えようもないありのままの事実なので受け入れるしかありません。

「仕事」「家庭」「健康」のすべてに変化が起こりがち、人生の折り返し地点40代。

「40代で胃がんになった」「50代で脳梗塞で倒れた」「50代でうつになり休職を余儀なくされた」という人たちは、私のインタビュー協力者にもいましたし、同級生の中にも乳がんや肺がん、脳梗塞を経験した人たちがいます。40歳を過ぎると、予期せぬ病に襲われるリスクは確実に高まるので、健康管理は常日頃から気をつけていただきたいです。

51歳で亡くなったジャーナリストの竹田圭吾さんは、その半年前、自らががん患者であることを告白し、「なんとか抑えながら生活の質を維持していくのが、〝がん〟なんだってことを、検診を受けているときから何となくイメージしておくといい」と、Twitterでメッセージしました。

生活の質には、当然「仕事」も含まれます。

「職業は人生の背骨である」という名言を残したのはニーチェですが、「働く」という行為には、「潜在的影響(latent consequences)」と呼ばれる、経済的利点以外のものが存在します。

潜在的影響は、自律性、能力発揮の機会、自由裁量、他人との接触、他人を敬う気持ち、身体及び精神的活動、1日の時間配分、生活の安定などで、この潜在的影響こそが心を元気にし、人に生きる力を与えるリソースです。

人は「仕事」「家庭」「健康」という三つの幸せのボールをもっています。ついつい私たちは「仕事」のボールばかりを高く上げがちですが、「健康」のボールを落としたら幸せにはなりません。人生の折り返し地点では、仕事も、家庭も、健康も、落としそうになる変化が起こりがちです。

大切なのは三つのボールをジャグリングのように回し続けること。回し方は人それぞれです。そこに正解も優劣もありません。「あなた」のやり方で回せるように、とことん悩み、具体的に動いてください。

人間は死ぬまで焦燥感や絶望感にかきまわされている

『原爆の子』『裸の島』などの作品で、海外で高い評価を得た映画監督で脚本家の新藤兼人さんは、90歳を過ぎて受けたインタビューでこう話しています。

──四十か五十の時に、シナリオで老人を書いてるわけ。その時の老人というのはね、盆栽に水をやっているとか、孫の頭をなでてるとか、たいがい善人なんだよね。(中略)(では、真実の老人は?)もう取り返しがつかない絶望感だとか、もう未来が少なくなったような焦燥感だとか、あるいは、あいつにやられたけど復讐をもうできないとかね、そういう妄想にかきまわされてるわけよ、老人って。悟るなんていうようなことはできないですよ、人間というものは……(中略)。
五十や六十で迷ったりしちゃいけないんじゃない?これから始まるときなんじゃないですか。(高任和夫著『仕事の流儀〜28人の達人たちに訊く』日経BPより)

まだまだ40歳。「ここで終わりだ。突然、状況が変わるような出来事は……起きない」(byブラッド)などと絶望してる場合じゃないのです。

フランクルは、「人生を意味あるものにするには、具体的に活動することだ。自分の活動を通じて、もっと有意義で、もっと意味に満ちた人生を送ることができる」と一貫して主張し続けました。私なりにフランクルの主張を言いかえれば、「止まない雨はない」ってこと。どんなどしゃぶりの雨に降られようとも、どんな暴風が吹き荒れようとも、雨は必ず止みます。この地球上に24時間365日雨が降り続いてる地域はありません(はい、元日本一のお天気ねーさんです)。

明後日の方向ばかり見るのではなく、そのとき、その瞬間できることをやる。ひとりきりでがんばらずに、いろいろな人の傘を借りながら雨をしのぐ。そうやって「具体的に活動する」と、雲の切れ間から太陽の光が降り注いだときに人間的に成長します。

『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか』
(ワニブックスPLUS新書)

河合薫

2023年6月8日

1375円(税込)

‎328ページ

ISBN:

978-4847066931

この本は、まっとうなキャリア本ではない。

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