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「自殺をしてはいけません」 今こそ読みたい美輪明宏の言葉 #1

集英社オンライン / 2022年5月22日 19時1分

この混乱の時代をどう生きるか。今こそ美輪明宏の言葉に生きるヒントがある…現代の日本人が忘れてしまった「美徳」の意味と実践の大切さを、厳しくも温かい美輪節で解き明かすエッセイ集『乙女の教室』(美輪明宏著・集英社文庫)から一部抜粋・再構成してお届けしたい。

自殺は、人生という学校を勝手に中退するようなもの

『生まれ変わりを信じて自殺する子どもが多い』という記事を読み、呆れてしまいました。

なんというひどい誤解でしょう!自殺は人生のリセットボタンではありません。人間がこの世に生まれ出るのは、とても大変なことです。魂は人間の体を得るために、あの世で長い長い行列を作り、悠久とも思える年月を待たねばなりません。順番が巡ってくると、そこで神様や守護霊が厳しく審査します。そのうえで、これこれしかじかの修行をしてきなさい、と宿題を与えられ、ようやくこの世に送り出されるのです。



〝あらゆる困難や苦労を体験し、克服し、試練に打ち克って完全な人格になるための修行をしていらっしゃい〟〝人のために身を粉にして働き、徳を積みなさい〟などなど、与えられた宿題に応じて魂は、最適な親と環境を選び出し、この世に送り出されてくるのです。

にもかかわらず自殺して、せっかく授かった命を無駄にしてしまうのは、大切な宿題や使命を放り出して、勝手に退学したり落第してしまうようなもの。死んであの世に戻ったら、再び、あの長い長い行列の最後尾につかねばなりません。その挙句、次の人生でも同じ宿題を与えられ、同じような環境で同じような人生をもう一度、やり直すことになります。リセットするどころか、同じやり直し人生の繰り返しです。

ですから自殺は、痛い苦しい思いをするだけ損。骨折り損のくたびれ儲け、なのです。

前世なんて、知らなくていいのです

私がスピリチュアルなことを公の場で口にするのは、みなさんに、自分の人生を思い切り生きてほしいと思うからです。人生の大切さに気づかないまま漫然と生きている人、自分の命も他人の命も軽んじている人たちに、自分たちの命の重さ、大切さに気づいてほしいからなのです。

人間の魂は、何十年という肉体の寿命で計られるものではなく、何百年、何千年と生き続けます。最初は未熟な魂が、この世に生まれ出て修行を重ねることで、磨きをかけるためです。どんな困難にもめげず、人に優しく、自分の使命を全うできる、そんな崇高な魂になるまで、魂の修行は続きます。ひとり分の人生ではあまりにも時間が短いので、何度も何度もこの世に生を享け、次の人生を生きるのです。

ですから、どの人生も大切です。男になったり女になったり、黒人だったりアングロサクソンだったりアジア人だったり、貧乏だったり金持ちだったり、生まれて生きる環境はさまざまですが、その人生をきちんと生きなければ、修行に来た意味がありません。どんな幸せも、どんな不幸も、どんな波瀾万丈もきちんと生き抜くのが、この世に生まれ落ちた私たちの使命なのです。

生まれ変わっても、なんらかの記憶は残ります。生まれ変わりの回数が多いほど、さまざまな経験から得た知恵が積み重なり、人の心や痛みがわかるようになります。前世の記憶が趣味や特技に繋がり、今生を豊かにしてくれることもあります。

逆に前世の性癖や生活習慣の記憶が、今生の邪魔をすることもあります。その必要もないのに、わけもなく闘争的だったり、支配的だったり。何不自由ない環境なのに人をいじめたくなったり……。

私が前世について言及するのは、こうした混沌とした状況をなんとか救って差し上げたいからです。今こうしてしまうのは前世がこうだったからだとわかれば、本人は腑に落ちます。目からうろこが落ちます。前世の悪い習癖を直そうと、心の底から思えるからです。

しかし、すべての人が自分の前世を知る必要はありません。わざわざインチキ占い師のところに行って、「あなたの前世はカエルです」などとデタラメを言われて思い悩む必要はありません。知るべきときがくれば、なんらかの形で知らされるはず。今まで知らずにいたのは、知る必要がないからなのです。

宗教は自分ひとりでおやりなさい

宗教は、人生相談のようなものです。仏教もキリスト教もイスラム教も、愚かで残酷で無力な人間たちがこの世を生き抜くためにさまざまな法話を作り、戒律を生み出して、人々を導いてきたものです。生きていく上でのヒントは宗教書の中に書かれていますから、それを研究するのは、けして無駄ではありません。

ですが私は、宗教団体に入ることはお勧めしません。これ見よがしな儀式や偶像崇拝、献金をする必要はないからです。聖書や教典を自分で研究するほうが、ずっとずっと人生の役にたちます。

例えば仏教書には、こんな話があります。昔、お釈迦さまが瞑想していると、ダイバダッタという悪魔が邪魔をしにきました。セクシーな美女になって誘惑したり、母親に化けて泣き落とそうとしたり、さまざまな形で修行を邪魔しようとするのですが、お釈迦様は動じません。すべて見破り、悪魔を撃退して、悟りを開いたのです。

こういうお話を読んだら、自分の人生に当てはめてみればよいのです。今、あなたの邪魔をしているのは、同じような悪魔かもしれません。意地悪な同僚になったり、イケメンの誘惑者になったり、セクハラオヤジになって、あなたの人生を邪魔しているのかも。そう解釈すれば、冷静に対処する勇気がわいてくるでしょう?

大切なのは、死なないですむ方法を精一杯考えることです。

自殺を考えているあなた。自殺さえすれば楽になると思っていませんか? 自殺すればその分、さらにつらい修行が必要になります。今のこの人生も、今を過ぎれば、また楽しいこと、うれしいこと、幸せなことも見つかります。

本当です。もう少し生きてみたら、本当かどうかわかります。


写真/御堂義乘

お給料はガマン料と心得ましょう #2
ボーダーレスで生きましょう #3
恋上手になりましょう
#4
お金は賢く使いましょう #5

『乙女の教室』(集英社文庫)
2022年5月20日
737円
文庫 272ページ
ISBN:978-4-08-744386-8

乙女とは、乙な女です──。思いやり、品、感謝、ボーダーレスなど、現代の日本人に必要な「美しい心のあり方」を説く全24章。書籍の購入はコチラ

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