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正しい視聴率の見方知ってますか? テレビ視聴率「誤差の秘密」

集英社オンライン / 2022年6月20日 16時1分

「統計学は21世紀必須の知識だ」(Google 元会長兼CEOエリック・シュミット)。データを制する者は時代を制すると、ビジネスの現場で統計学が注目されている。ガチの初心者でも楽しく読める統計学の入門書『グラフとクイズで見えなかった世界が見えてくる すごい統計学』(飛鳥新社)から「テレビ視聴率」の章を一部抜粋・再構成してお届けする。

マスコミ報道に躍らされないために

テレビ業界は視聴率が1%のアップ・ダウンどころか、0.1%の差でも「勝った、負けた」と一喜一憂し、ゴールデンタイムで1桁台にでも落ちれば番組ストップもあるかもしれないなど、視聴率はテレビ業界にとっては神のような存在です。

では、そんな大事な視聴率とは、どのくらい正確な数字なのでしょうか?



視聴率は、ビデオリサーチ社の例でいうと、関東地方など全国を32の調査地域に分け、それぞれの地域ごとに視聴率を出しています。ここでは関東地方の視聴率を例にしてみましょう。

関東地方では1800万世帯に対し、2700世帯を対象に調査をしています(2020年3月以前は900世帯だった)。1800万に対する2700というと、「約6700分の1」ですが、サンプルさえうまく選べば(ギャラップ社のように)、わずか2700のデータでも、十分な調査ができるというわけです。

■「誤差」はどのくらい正確か?

といっても、サンプルはサンプルですからね。関東地方の1800万世帯のすべてを調査したわけではないので、必ずそこには「誤差(バラツキ)」が出ます。この誤差がどのくらい大きいのか、小さいのか……それが実用上は問題です。

そこでサンプル数が2700で、視聴率が10%の場合の誤差をグラフにしたのが次ページのものです。サンプル数が300、600、900、2700のときの誤差を試算したのがそのあとの表です。

このサンプル数2700では、視聴率で10%と出た場合、誤差はプラス・マイナス1. 2%と考えられるので、実際の視聴率は8.8〜11.2%の間となり、その範囲に入る確率は約95%ということです(8.8%より下のケース、11.2%より上のケースもありえるが、合わせても5%と小さい)。

ここでは数式を出さないつもりでしたが、同社に掲載されていた「実際の視聴率を推定する公式」を掲載します。参考に載せてあるだけなので、ここでは式の意味を理解する必要はありません。流れだけ見ていてください。

うぐぐぐ……ナンダコノ数式ハ……

実際には視聴率が「逆転」されているかも?

さて、調査した視聴率(世帯視聴率)やサンプル数を先ほどの数式に入れると、誤差が「プラス・マイナスいくつ」と計算されます。それが下の表の中にある数値です(95%の信頼度のケース)。

サンプル数が2700世帯で、視聴率が 10%のときは上の表の中で青に塗った「±1.2%」がその誤差にあたります。サンプル数が900のときに比べ、誤差の範囲がずいぶん小さくなりました。

同じ時間帯で、Aテレビが11%、B放送が 10%、Cテレビが9%の視聴率をとった場合、先ほどの数式で計算してみると、やはり±の 1・2%程度の誤差が生じていることがわかります。

視聴率が高いのは「A、B、C」の順ですから、Aテレビのスポンサーはホクホク顔かもしれません。

しかし、誤差も考慮すると上の図のようになり、「C、B、A」と逆転しているかもしれないのです。それどころか、Aテレビも下手をすると10%を切っている可能性さえあります。

スポンサーであれば、「視聴率は1%程度、控えめに見る」と解釈しておくのが無難でしょうね。

『グラフとクイズで見えなかった世界が見えてくる すごい統計学』(飛鳥新社)

本丸諒

2022年4月26日

1650円(税込)

単行本(ソフトカバー) 256ページ

ISBN:

978-4-86410-883-6

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