「僕は人の笑顔を栄養にして生きている」戸田奈津子が京都旅行をともにした、いまは亡きロビン・ウィリアムスとの思い出
集英社オンライン / 2024年3月23日 17時0分
〈所得番付トップにもなったオスカー女優「“闊達なアメリカの女性”というイメージそのまま」戸田奈津子が見たサンドラ・ブロック〉から続く
字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。
今でも亡くなったことが信じられない
映画のプロモーションでロビンが来日するたびに、一緒に京都旅行へずいぶん行きましたし、家族ぐるみでとても仲良くさせてもらいました。お寺でお坊さんがお経をあげる姿を見て咄嗟にモノマネをしたり、当意即妙で本当に人を笑わせる天才なの。
「吸血鬼は血を吸って生きるけど、僕は人の笑顔を栄養にして生きているんだよ」というのが彼の口癖。記者会見なんて入場料を取るべきだと思ったくらい、サービス精神旺盛な生まれながらのエンターテイナーでした。
実際の人柄の通り、演じる役もほとんど悪役ってないのよね。『ミセス・ダウト』(1993)みたいな楽しい役もやったし、『いまを生きる』(1989)や『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)みたいな学生を教え導く教師役も、教訓めいていないところが彼にピッタリでした。
なかでも私が好きな1本は、テリー・ギリアム監督の『フィッシャー・キング』(1991)。ひと言では表現できない毛色の変わった不思議な映画でしたね。ロビン演じるパリーとジェフ・ブリッジス演じるジャックがセントラルパークですっぽんぽんになり、寝転がって歌を歌うシーンは忘れられません。背景にあるテーマはシリアスだけど、同時に秀逸な喜劇でもある。独特の世界観がギリアム監督ならではでした。
ロビンが2014年に亡くなってからもう10年。当時、彼の友人たちがサンフランシスコの劇場に集まって追悼会をしたのですが、私も参加させてもらいました。
いろんな人が追悼文を発表したのですが、なかでもギリアム監督の追悼文が涙をそそりました。今も亡くなったことは信じられないけれど、本当に誰からも愛される天才俳優でした。
『フィッシャー・キング』(1991)The Fisher King 上映時間:2時間17分/アメリカ
過激なトークで人気を集めるラジオDJのジャック(ジェフ・ブリッジス)。ある日、放送中の発言がきっかけで銃乱射事件が起こり、仕事も名声もすべてを失ってしまう。
3年後、暴漢に襲われたジャックは路上生活者のパリー(ロビン・ウィリアムズ)に助けられる。パリーが3年前の事件で妻を亡くしたことを知ったジャックは、彼の助けになろうと決意。ふたりは奇妙な友情で結ばれていく。
テリー・ギリアム監督作。ロビン・ウィリアムズはゴールデン・グローブ主演男優賞を受賞した。
ロビン・ウィリアムズ
1951年7月21日生まれ、アメリカ・イリノイ州シカゴ出身。スタンダップコメディアンとしてキャリアをスタートし、ロバート・アルトマン監督の『ポパイ』(1980)で映画デビュー。『グッドモーニング,ベトナム』(1987)『いまを生きる』(1989)『フィッシャー・キング』でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)で助演男優賞を受賞した。
主な出演作は『レナードの朝』(1990)『ミセス・ダウト』(1993)『ジュマンジ』(1995)『バードケージ』(1996)『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』(1998)『ナイト ミュージアム』シリーズ(2006、2009、2014)など。2014年に逝去。
語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ヨルゴス・ランティモス監督の日本初公開短編&パク・チャヌク監督幻の短編ほか独占配信
cinemacafe.net / 2024年4月30日 12時20分
-
米元大物プロデューサーの有罪判決破棄、再審へ 「♯MeToo」運動きっかけ
日刊スポーツ / 2024年4月28日 12時21分
-
「しゃべり方までエリザベス女王自身」現在78歳・現役感たっぷりの俳優ヘレン・ミレンとの戸田奈津子の思い出とは
集英社オンライン / 2024年4月20日 19時0分
-
戸田奈津子、ハリソン・フォードは“バディ” 46年前の来日を回顧「蕎麦屋にいても誰も何とも言わない」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年4月10日 21時27分
-
「フォレスト・ガンプ」ゼメキス監督×トム・ハンクスの新作、賞シーズン直前の公開へ
映画.com / 2024年4月3日 17時0分
ランキング
-
1「本当の親子のように」那須夫婦遺体事件で逮捕の元子役を溺愛していた実力派女優に“とばっちり”被害
週刊女性PRIME / 2024年5月1日 17時30分
-
2享年94歳・桂由美さん、死去4日前に収録『徹子の部屋』5.3放送
マイナビニュース / 2024年5月1日 19時8分
-
3「クロスバー直撃」の 渡邊センス、松本人志報道で講談社提訴「許す訳ないじゃないですか」
スポニチアネックス / 2024年5月1日 21時22分
-
4tricotヒロミ第1子妊娠発表 お相手はcinema staff三島「結婚しておりました」と明かす
スポニチアネックス / 2024年5月1日 12時34分
-
5ガーシー氏、帰国後初の生配信登場も開始3分で強制削除 「利用規約への違反により」と表示
スポニチアネックス / 2024年5月1日 22時8分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください