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〈ニチガク破綻〉少子化が原因じゃなかった!社長交代は社内でも極秘におこなわれ、前経営者はトンズラ…経営破綻“本当の理由”とは

集英社オンライン / 2025年1月10日 17時41分

〈ニチガク受験直前に破綻〉社長は9ヶ月で2度代わっていた…家賃6万円の家に住む就任したての中年男に近隣住民は「あの人が社長なの?」〉から続く

1月4日に東京・新宿区の大学受験予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会が突然経営破綻を明らかにした問題。受験シーズンの直前だけに受験生にとっては「最悪」の時期の選択で、会社への不信は拡大している。ところが、社内でも昨年10月に代表取締役が交代していたことが知らされず、年末には融資を受けられるとのうその情報が流布されていたことが関係者の話で分かった。 

【画像】破綻する前にトンズラ…昨年10月まで社長だったB氏

社長になっていたこと自体社内でも隠されていた

「社長の言ってることは全く人ごとで、誠意も何も感じません。塾がつぶれたのを最初聞いた時、どう考えていいのか分かりませんでしたが、今は怒りしかありません。今から塾を代えて何かプラスになるとも思えず、これからは自習で受験に臨むしかありません」

1月9日、ニチガクに置いてあった私物を取りに来た高校3年の受験生の男性(18)はそう怒りをあらわにした。1月6日にも荷物を取りに来たが混乱していて受け取れず、受験前に受講もできない塾に2回も足を運ぶことになったという。

「ここでいう『社長』とはテレビ朝日がインタビューを放送した現社長のC氏のことでしょう。今回の事態に『心が痛いってだけですよ』などと話していました」

そう話すニチガク関係者が続ける。

「でも、C氏が『人ごと』のように話していると塾生が怒るのはある意味当然なんです。なぜならC氏は経営経験などなく、実際に会社の破綻処理をしているわけでもありません。Cさんは、会社の登記簿に名前だけ載せられたのだろうと社内の人間はみんな思ってますよ。そもそも、彼が社長になっていたこと自体、社内でも隠されていて、7日に集英社オンラインが報じた記事(♯1)を見て現場の人間は仰天したんです」

1983年に設立された日本学力振興会はホームページで「日本一の予備校密集地帯である西新宿で40年以上の指導実績を誇る」と宣伝してきた。同社を長年率いてきたのが推薦入試のハウツー本も出版したことがあるA氏だ。20年ほど前から同社と付き合いがあるという予備校関係者が話す。

「A氏は創業者にかわいがられて経営を引き継いだと聞きました。業界では“推薦に強い人”という評判が立っていた人物です。学力的にどうかなと思う塾生が東京の私大トップ校に推薦でどんどん受かっていた時期があり、そうした評価が立ったんでしょう」

ところが会社の登記によれば、まず昨年4月1日に代表取締役がA氏からB氏に交代した。

「B氏は古参の営業担当者です。塾の営業というのは、受験期の生徒らの名簿を基に電話をかけまくり勧誘するんです。Bさんはかなりやり手で社内でも実力者でした。気のいいおっちゃんという感じで塾生からも結構人気がありましたよ」(同前)

テコ入れの医学部進学コースが…

そのB氏は長年A氏との関係がよくなかったらしく、代表取締役の交代は事実上B氏が実権を奪ったものだと社内では受け止められていました。ただ、数年前からA氏の側近になった数人はB氏が社長に就任した後も経営で存在感を見せていたので、A、B両氏の間で何らかの合意があった可能性もあります」と解説する。

しかし経営権を手にしたB氏は、すぐに厳しい状況に直面した。

「B氏が実権を握ったのは実際には昨年の1、2月なんですが、会社の財務状況はその時すでに悪化していたようなんです。会社の整理が正式に決まれば、A氏時代までさかのぼって経営状態にメスが入るでしょう。A氏、B氏のプライベートにはいくつか“よからぬ噂”がありました。

いずれにせよB氏は会社の立て直しを迫られました。そこでB氏が勝負に出たのが、高額な受講料を取れる医学部進学コースの拡充です。『メディカル医進館』と名付けた医学部コースがあるのですが、昨年前半、ニチガクの近所の別の建物を2階から5階まで借り切り、このコース専用に、ニチガク本体より充実した受講施設を備えたんです。

しかし一般学部進学がメインだったニチガクが医学部受験に本格参戦しても、すぐにうまく回ることはありません。結局この投資がさらなる重荷となり経営がさらに悪化した、というのが社内外の受け止めです」(別の同社関係者)

その先に、登記簿上では10月1日付で代取がB氏からC氏に変更されている。B氏の就任期間は半年にすぎないことになる。そしてこの社長交代劇は社内にも隠された。

前出の20年来の付き合いがある予備校関係者は、集英社オンラインが報じたC氏は誰か、見当がつかなかったという。

「今の社長のCって、誰なんですか? え、あの人?それはちょっと無茶苦茶だな…」

この関係者によれば、C氏は雇用形態ははっきりしないがニチガクの営業チームの一員だったが、経営に関与できる人物ではないという。

「C氏は営業のスキルはそこそこあったと思いますよ。辞めずに続けてきたから。でも営業成績がよかったとは言えない。酒を飲んで周囲とトラブルになることが多く、避けている人もいました。営業以外の経験はないはずで、C氏が社長に就いたこと自体、会社経営を続けていこうと考えたとは思えないですね、C氏には借金などの金銭トラブルもあったようです」(同関係者)

A氏、B氏の自宅を訪れると…  

実際、C氏の社長就任のころから会社の資金繰りはさらに悪化したようだ。同社関係者は、「実は会社では給与の遅配がかなり前から“制度化”されていました。アルバイトさんらの契約条件は最初からバイト代は2か月遅れで支払うとなっており、社員や講師への遅配も当たり前。そんな中で去年の秋からさらに支払いが滞るようになったんです」と話し、続けた。

「12月の給与受け取り予定日だった10日の直前に、『30日になったら融資を受けて支払うことができるのでその日まで待ってください』という内容のLINEが社員らに届いたんです。そして年末まで、今から考えれば登記簿上の社長でなかったB氏はいつもの通り出勤して社長業務をしていたんです。

けれども30日になっても給与は支払われず、そのまま冬休みに入り、年が明けて最初に館内に入れる1月4日朝に経営破綻を知らせる紙が校舎前に貼り出されていたんです」

この破綻劇に別の予備校経営者は「生徒のことを考えるなら、経営が悪化すればまず募集を止めた上で1年程度先に講義を終えると予告するのが筋でしょう。こんな時期に突然放り出すなんて信じられない」「報道でいわれているような少子化が原因で潰れたのと訳が違う」 と憤る。

経営悪化の先に、塾生のことを考えた処理はなぜ行われなかったのか。都心部の家賃40万円前後とみられる高級マンションに暮らすA氏と、競輪好きのため車券売り場の近所を選んだと社内でみられていた横浜市内のマンションに住むB氏を訪ねたが、いずれもインターフォンに反応がなく、電話も出なかった。

予備校業界関係者は「A氏もB氏も、今はそれぞれ別の予備校が面倒を見ているという話が聞こえてきます」と話す。最後の社長となったC氏は都内で住む集合住宅に帰宅しなくなった。責任者は誰も、塾生に説明や謝罪をしようとしていない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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