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マナー講師が唱えた“カレーライスのマナー”が「こじつけ」と炎上…マナーとは「決まりごと」「正しい形」ではないと専門家が指摘

集英社オンライン / 2025年1月24日 17時0分

1月21日放送のバラエティー番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)で、カレーライスに関するマナーが紹介され、SNSで大きな物議を醸している。

【画像】カレーライスを置く正しい向きはどっち?

カレーライスの知られざるマナーが炎上?

この日の放送では、“知らないとマズい!? 大人のマナーSP”と題して、鬼のマナー講師と呼ばれる平林都氏をスタジオに招き、スタジオのゲストたちがさまざまなマナー問題に挑戦していった。

そんな中で、俳優の波瑠に出題されたのが、“カレーの正しい向き”に関するマナー問題。カレーのルーとライスが半々に盛られたカレーライスの皿を、どのような向きで配膳するのが正しいのかという問題だ。

波瑠は手前をライスに、奥側をルーにしてみたのだが、これは不正解。平林氏によると、利き腕のほうにライス、その逆にルーが来るように置くのが正しいという。こうすることで、ご飯をルーに寄せながら食べていくと、お皿をそれほどルーで汚さずにキレイに食べられるため、「もてなしてくださる方にも気遣いができる」とのことだ。

理にかなっている作法にも感じるが、テレビのキャプチャ画像がSNSで拡散されると、疑問や批判的な声が殺到してしまった。

〈個人的にはルーが左側だけど、美味しく食べられて周りの人を不快にさせるような食べ方でなければ、心底どうでも良い〉

〈日本庶民の食べ物、カレーライスにマナーをこじつけるなんてマナーがなってないな〉

〈テレビ局に無理矢理にカレーのマナー捻り出してくれとでも言われたんかね〉

〈これはカレーライスに対するマナーではなく、食べたあとのお皿をキレにするにはどうしたら良いのかというクイズなのでは?〉

なにかと物議を醸すことが多いマナー問題。そこで、マナー講師の金森たかこさんに今回のマナーに対する見解を聞いた。

「非常に理にかなったマナーだと思います。理由は 2 つあります。ひとつは、食べた後のお皿の美しさです。食べ終わった後のお皿の状態がキレイなのは、同席者への配慮にもつながります。

もう一つの理由は、自然にスムーズに食べ進めることができるからです。一般的に右利きの人が多い日本では、ライスが右、カレーが左だとスプーンの動きがスムーズになるため、『食べやすさ』という観点からも合理的な配置と考えられます」(マナー講師・金森たかこさん、以下同)

ソースポットから一気にルーをかけるのはマナー違反?

やはり同じマナー講師から見ても、今回のマナーは適切なものであると考えられるようだ。また、カレーライスのマナーはほかにもあるという。

例えば、レストランなどで、カレーが銀の容器(ソースポット)に入って提供された場合、一度に全部かけてしまわないことが、最後まで美味しく食べるためのポイント。ソースポットには専用の少し大きめのスプーン(レードル)がついているので、適量をライスにかけ、追加しながら食べ進める。そうすることでカレーが冷めにくくなり、カレーの水分をライスが吸うことも防げるのだ。

また、カレーを食べているときは、なるべく大きな音はたてないようにしたいため、スプーンを皿にカンカンとぶつけないように注意する必要もあるそうだ。

理屈としてはもちろんこれらのマナーはわかるが、中には「好きに食べさせてくれ」「カレーだけでこんなにマナーがあると疲れてしまう」とウンザリしてしまう人もいるだろう。

しかしここでわかってほしいのは、マナーとは、「こうしなければならない決まりごと」「正しい形」というわけではないこと。「マナーの根底には『相手への配慮』『思いやり』があります」と金森さんは論じる。

「私はマナーとは、『相手への気遣い、配慮から発生』したものだと考えます。つまり『絶対にこうしなければならない』のではなく、こうする方がいいですが『場や状況、相手に応じて柔軟に対応することが大切』というところまでがセットになっているのです。

特に今回は、食事のマナーです。食事のマナーで大切なことは、同席者と楽しくコミュニケーションを取りながら、美味しくいただくこと。同席者に不快感を与えない食べ方、最後まで美味しくいただく食べ方、そのためにはどのようにして食べればよいのか。そう考えると、おのずと答えは出てくると思います。

同席者が、ソースポットのカレーを一度に全部かけて美味しそうに食べていたら、あなたはどうしますか? 相手に恥をかかせないようにすることや、その場を楽しくスムーズに過ごせるように工夫することも、マナーの重要な役割です。場の雰囲気に応じて、同じように豪快に食べるスタイルが適している場合もあると、私は考えます」

マナー違反をするSNSの人たち

実は今回の『ぽかぽか』でも、平林氏はマナーを紹介する前に、マナーは生きていくうえで必ずしも必要なものではないと思うと前置きしたうえで、相手に対しての心遣いとして知っておくと利点があるものだと明かしていた。

だがSNSでは残念ながらこうした平林氏の想いは切り取られ、画像だけが拡散され、まるでマナーを無理に押し付ける人かのような扱いを受けている。むやみに人の投稿を拡散したり、それで他人を叩いたりせず、しっかりと自分で情報について調べるのが、現代社会でSNSをするうえでのマナーであるはずだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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