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池上彰、林修らビッグネームに教わりまくる! 坂下千里子、唯一無二の丸腰感

集英社オンライン / 2022年6月22日 16時1分

「あの人、いつも同じような番組出てるよな〜」「他に誰かいないの?」って、テレビを観て思ったことはないだろうか? そんな視聴者のツッコミは、当然番組の制作サイドも承知の上。それでも起用するのは、我々には見えざる“何か”があるに違いない。池上彰、林修などが解説役に名を連ねる、教養系バラエティの常連とも呼べる坂下千里子。彼女の“いつメン”たる才能を、テレビ番組に関する記事を多数執筆する、ライターの前川ヤスタカが分析する。

テレビ視聴者が抱く坂下千里子のイメージ

「なぜ池上彰さんの番組には必ず坂下千里子さんが出ているのですか?」
某知恵袋サイトで複数の人から投稿されている質問である。
確かにそうだ。池上彰が何かを教える番組では、自動的に坂下千里子がセットで出演している気がする。そしてあの独特のピヨ味がかった声で質問をして、池上彰に「良い質問ですね」と言われている。そんな画が頭に浮かぶ。



しかし調べてみると実はそうでもない。かなり多いのは確かだが「必ず」というほどではない。これは局別に色があって、テレビ東京はほぼ自動的といってもいいくらい「池上あれば千里子あり」の状況。ただし選挙特番に限っていえば、質問タイムに時間を割けないからかそこまで千里子率は高くない。テレビ朝日もかなりの高確率で池上ー千里子セットが出ている。

一方、TBSと日本テレビは私が調べた限り、ゼロ千里子である。池上彰が番組をやっていないわけではないのだが、そこに千里子の影はない。
面白いのがフジテレビで、池上スペシャル開始当初は積極的に千里子を起用していたのだが、途中から他局との差別化を狙ってか千里子をぱったり使わなくなった。今フジテレビの池上番組でそこのポジションに誰がいるかというと千秋である。

しかし某知恵袋サイトに「なぜ池上彰さんの番組には必ず千秋さんが出ているのですか?」という質問はなかった。千里子には多くの人が疑問を感じているというのに。

実はその芸能史には三つのステージがある

少し話題を変えよう。
多くのタレントは芸能界という荒波で生き残るにあたり、モデルチェンジをしていく。アイドルとしてスタートした人が、俳優になり、ママタレ・パパタレに変わっていくようなこともあるし、お笑い芸人から性格俳優になったりする人もいる。

武田真治でいえば、ジュノンボーイからのフェミ男期→めちゃイケいじられ期→筋肉期というような変遷を経てきているし、髙嶋政伸であれば二世タレントサラブレット期→ドラマ「ホテル」等主演級俳優期→私生活色々あった期→いきいきと怪優やってる期といった感じである。例としてあげた芸能人が適切だったかは正直自信がない。

で、坂下千里子である。
三畳紀・ジュラ紀・白亜紀のように坂下千里子の芸能史もいくつかの期に分けられる。

分け方には諸説あるかもしれないが、ざっくり大きく分けると(1)ブランチ期、(2)いいとも・もしツア期、(3)教わり期ということになる。最後の「教わり期」って何?と思ったであろうが、ひとまず話を先に進める。

坂下千里子のデビューのきっかけはアルペンのCM出演だが、本格ブレークは「王様のブランチ」のリポーターである。千里子は、はしのえみの盟友としてブランチリポーター第一次黄金世代の中心で居続けた。ここが彼女の第一ステージだ。

しかしブランチリポーターをステップに、さらに芸能界の急坂をのし上がるのはなかなかハードルが高い。ワンギャルからドラマ主演級まで上り詰めたのがほぼ釈由美子だけだったように、テレビ番組に紐づいたグループからのスターロードは細い。例外的な大成功事例であるおニャン子クラブでさえ、いまだに第一線にいるのは数人だ。
たとえが古いと思われた方もいることだろう。今調べてびっくりしたのだが「ワンダフル」がやっていたのは約25年前らしい。そりゃ東幹久も52歳になるはずである。

そんな千里子を一躍スターにしたのが、スリムビューティハウスの「バッチリチリ脚」というエステCMである。バレエ経験を生かし、足でタクシーを止めたり、居酒屋で注文したりするインパクト抜群のCMで認知度を上げた彼女は、その後「笑っていいとも!」のレギュラーや「もしもツアーズ」の初代ツアーガイドなどバラエティを戦場に輝いていく。これが第二ステージだ。

余談だがこのエステCMと同じ時期に出たのが、近年ハライチからもいじられている、坂下千里子シングル曲「浜辺のChili-Chiliダンス」である。今、当時のCDジャケットを見て驚いたのだが、特典としてエステご招待券がついている。CDを売るためにエステ券をつけたのか、エステに来てほしいためにCDを出したのか、よくわからないマーケティング戦略である。

教わり続けることに必要な才能とは

しかし結婚、出産を経て坂下千里子はさらなるモデルチェンジを図る。それが現在まで続く「教わり役」を軸に据えた第三ステージである。

2010年代に入ってからの千里子は、とにかく何かを教わっている。
先述の池上彰の一連の番組もそうだが、2012年〜2015年に「おとなの基礎英語」、2015年〜2021年には「これでわかった!世界のいま」と、いずれも専門家に教えを乞う役割でテレビ出演している。

冒頭、フジテレビでは彼女の池上番組への出演は減っているという話をしたが、実はその分林修の番組には高頻度で出るようになっている(池上・林修反比例の法則)。様々な場所で千里子は教わり続けているのである。

本人がインタビューで語ったところでいえば、やはり出産・育児を経て大きな意識変化があったようだ。子を持つようになって社会や政治への関心が強まり、10代で芸能界に入り、思うように出来なかった勉強への意欲がふつふつと湧いてきたというわけである。つまりこの教養番組シフトは年齢と共になんとなくそうなったのではなく、意図的にそうしていたのである。

しかし本人がそれをやりたいからといってできるわけではないのが芸能界。視聴者や番組プロデューサーなど求める人がいなければ退場させられてしまう。ではなぜ千里子は今も教わり続けられているのだろうか。

おそらくそれは、良い意味で成長しないということなのだと思う。「良い意味で」とつければなんでも言って良いと聞いたのでこのようなことを言っているのだが、これだけ教わっているのに、千里子が何かを身につけたり、何かに詳しくなったりしている気配がない。好奇心旺盛な小学生が初めてそれを聞いたかのようなリアクションを、計算なしで常にできるのはある種の才能である。

多分、多少なり予習はしていたりするのだろう。しかし坂下千里子には常に圧倒的な丸腰感が漂う。知らないことを素直に聞き、感心し、そして何事も学ばなかったかのように、また新鮮な気持ちで違うことを学ぶ。その繰り返しが「教わる人」坂下千里子なのである。

教わるだけでは終わらない!? MCの座を獲得

そんな千里子が、この4月から関西ローカルのニュース番組、朝日放送テレビ「news おかえり」(月〜金15:45〜19:00)の木曜MCに就任したと聞いて驚いた。教わり続けてきた千里子が、ニュースキャスターとしてついに発信する側に回ったとなれば、これは大事件である。

しかしそれは杞憂であった。実際に番組を見てみるとメインMCとして発信するのは横山太一アナウンサーで、横に立つ日替わりMCの千里子は、たまにニュースの見出しを読む程度。緊張感があるはずの北朝鮮ミサイルのニュースも、千里子声で「ミサイル発射、核実験にも警戒が必要ですぅ」と読まれると、大したことがないのかなと思ってしまう。
ニュース解説も盤石の解説陣が脇を固めていて、千里子はいつもの表情で感心しながら聞いていた。

安心した。大丈夫、坂下千里子は今も教わり続けている。

連載コラム「前川ヤスタカの考えすぎテレビ」バックナンバーはこちら

文/前川ヤスタカ イラスト/Rica 編集協力/萩原圭太

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