「H3」ロケット続報 打ち上げ中止の原因は機体や地上設備の電気的な挙動による影響か
sorae.jp / 2023年2月24日 11時10分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年2月22日、オンラインで開催された「宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合」にて、「H3」ロケット試験機1号機打ち上げ中止の原因調査について最新の情報を報告しました。
既報の通り、先進光学衛星「だいち3号」を搭載したH3ロケット試験機1号機(H3-22S)は種子島宇宙センターから2023年2月17日10時37分(日本時間)に打ち上げられる予定でしたが、第1段の「LE-9」エンジン2基の点火とそれに続く固体ロケットブースター「SRB-3」2基の点火の間(リフトオフの6.3秒前~0.4秒前)にロケットの制御機器が何らかの異常を検知し、SRB-3を点火するための信号(着火信号)が送信されなかったため、同日の打ち上げが中止されていました。
関連:【速報・更新】「H3」ロケット試験機1号機、打ち上げ中断(2023年2月17日)
2月22日にJAXAが公開した資料によると、点火後のLE-9エンジンの推力と各機器の正常な作動状態から打ち上げ条件は成立していましたが、リフトオフ直前までの異常監視中に第1段に搭載されている制御機器(1段機体制御コントローラ)が異常信号を検知。フェイルセーフ(※)にもとづいて設計されているシステムの働きによってSRB-3の点火信号は送信されず、LE-9エンジンの停止信号が送信された後に自動カウントダウンシーケンスも停止して安全な状態へと移行しました。ペイロードのだいち3号をはじめ、H3ロケットや地上設備の損傷もなかったとされています。
※…フェイルセーフ(fail safe):故障・障害・誤操作などが発生した時、常に安全な状態に向かうようにする考え方。
原因の調査は2月22日の時点ではまだ完了していませんが、JAXAは機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高いところまでは絞り込めたとしており、2023年3月10日まで確保されている予備期間のうちにH3ロケット試験機1号機を打ち上げられるように、引き続き原因調査と対策・検証に全力で取り組むとしています。
H3ロケット試験機1号機に関しては新しい情報が入り次第お伝えします。
Source
Image Credit: JAXA JAXA - H3ロケット試験機1号機打上げ中止の原因調査について(宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合)文/sorae編集部
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