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観測開始一周年。系外惑星探査衛星「TESS」の成果を振り返る

sorae.jp / 2019年7月26日 21時0分

2018年4月に打ち上げられ、同年7月から正式に観測を開始したNASAの系外惑星探査衛星「TESS」。NASAは7月25日、観測開始からちょうど一周年となるタイミングで、TESSがこの一年間に成し遂げた発見の数々を紹介しています。

一年前、TESSは搭載する4台のカメラを南の空に向けました。一度に観測できる範囲は24度×96度という広さで、同じ範囲を27日間観測し続けます。ちなみに満月の見かけの直径は0.5度なので、ざっと満月50個×200個分くらいの範囲を、TESSは1か月近く見つめ続けることになります。

TESSの主な観測対象は、地球から300光年以内の近いところにある恒星です。去年の7月25日から今年の7月18日まで続いた南天の観測で、TESSは合計21個の系外惑星を発見。そのなかには地球の直径の80パーセントという小さなものも含まれます。

TESSが発見した系外惑星の一例を地球や火星と比較。35光年先の恒星「L 98-59」を公転する3つの惑星が見つかった

さらに、地上の望遠鏡による確認を待っている系外惑星の候補は850個以上。これはTESSの主任研究員を務めるマサチューセッツ工科大学のGeorge Ricker氏が「一番楽観的な期待をも上回る」と語るほどの成果です。

系外惑星が主なターゲットではあるものの、TESSは他の天体の観測にも貢献しています。たとえば、地球からおよそ63光年先にある「がか座ベータ星」では2014年にヨーロッパ南天天文台(ESO)の観測によって500個近くの系外彗星が見つかっていますが、これらの系外彗星を可視光で識別するためにTESSのデータが利用されました。

がか座ベータ星と系外彗星の想像図(Credit: ESO/L. Calçada)

また研究者たちは、ハッブル定数の算出などに利用される“宇宙の灯台”こと「Ia型超新星」の観測にもTESSが活用できると考えています。

Ia型超新星が発生するメカニズムには「白色矮星(主星)に赤色巨星など(伴星)のガスが降り積もる」場合と「白色矮星どうしが合体する」場合の2通りがあると考えられていますが、どちらのほうが多く発生しているのかなどは未解明のままです。

観測初期の数か月間に、TESSは遠くの銀河で6つの超新星爆発を発見しました。広範囲を1か月近く観測し続けるTESSによって超新星爆発が数多く見つかれば、Ia型超新星をより深く理解するのに役立つだろうと期待されているのです。

最初の1年で南天の観測を終えたTESSは、現在北天にカメラを向けています。2020年までには、全天の4分の3以上がTESSによって観測済みとなる予定です。

 

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/nasa-s-tess-mission-completes-first-year-of-survey-turns-to-northern-sky
文/松村武宏

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