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NASA、SLSの限界を知るために燃料タンクをわざと破壊する

sorae.jp / 2019年12月9日 21時11分

来年2020年に初飛行が予定されているNASAのロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」。その構造上の限界を確認するための大掛かりで派手な試験が、マーシャル宇宙飛行センターにおいて実施されました。

■試験用の液体水素タンクに窒素と油圧で負荷をかける

高い負荷を長時間受けた末に破裂したSLSの液体水素タンク(Credit: NASA/Dennis Olive)

今回試験が実施されたのは、SLSのコア・ステージを構成するパーツのひとつである液体水素タンクです。高さ約40m、直径約8.4mのサイズを持つこのタンクには、4基の「RS-25」エンジンを8分間稼働させられる約2000キロリットルの液体水素が充填されます。

アラバマ州ハンツビルのマーシャル宇宙飛行センターで12月5日に実施された試験では、実際のSLSと同じ仕様の液体水素タンクに対し、高圧の窒素ガスと油圧によって打ち上げ時の2.6倍以上という高い負荷が加えられました。タンクはこの負荷に5時間耐え続けた後に、写真のように側面が上から下へと裂けるように破裂しています。

ただし、今回の試験は液体水素タンクの限界を知るために実施されたため、破壊されることも織り込み済みです。NASAによると、今回の試験結果はタンクの軽量化とペイロード(ロケットに搭載される宇宙船や貨物など)の重量を増やすために活用されることになります。

なお、今回破壊するまで負荷が加えられた液体水素タンクはすでに37通りの試験を終えており、設計に問題はないことが確認されています。SLSは2020年に実施される「アルテミス1」ミッションにおける次世代宇宙船「オリオン」の打ち上げが初飛行になる予定です。

打ち上げられたSLSの想像図(Credit: NASA)

 

Image Credit: NASA/Dennis Olive
https://www.nasa.gov/exploration/systems/sls/nasa-engineers-break-sls-test-tank-on-purpose-to-test-extreme-limits.html
文/松村武宏

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