超新星残骸「カシオペヤ座A」を残した恒星には伴星があった可能性
sorae.jp / 2020年7月7日 21時0分
北極星を探すときの目安になるW字型をしたカシオペヤ座の方向には「カシオペヤ座A」と呼ばれる超新星残骸があり、NASAのX線観測衛星「チャンドラ」が継続的に観測を行っています。チャンドラによる観測データを分析した結果、カシオペヤ座Aを残したとみられる恒星にはまだ見つかっていない伴星が存在していたかもしれないとする研究成果が発表されています。
■超新星爆発前の恒星は伴星との相互作用で外層を失ったか佐藤寿紀氏(理化学研究所)らの研究グループはチャンドラの観測データをもとに、超新星爆発を起こしてカシオペヤ座Aを残した恒星の性質を分析しました。その結果、カシオペヤ座Aを残した恒星には未発見の伴星が存在していた可能性が示されたといいます。
今回、研究グループは爆発前の恒星が誕生した時の金属量(水素やヘリウム以外の元素の量)を調べました。佐藤氏が「星の最期に影響します」と語るように、形成時の金属量は恒星の進化に影響を与えるとされているためです。観測データから得られた超新星爆発時のマンガンとクロムの比率をもとに、カシオペヤ座Aを残した恒星が誕生した時の金属の比率を推定して太陽と比べたところ、太陽よりも金属の比率が低い恒星だったことが判明したといいます。
カシオペヤ座Aを残した恒星は水素でできた外層を失ってから超新星爆発を起こしたとみられており、その原因としては自身の恒星風によって外層が周囲に放出されたり、伴星との相互作用によって外層が剥ぎ取られたりしたことが考えられます。研究グループでは、金属の比率が低い恒星では恒星風が弱く外層を失わせることができないとみられることから、カシオペヤ座Aを残した恒星の場合は伴星によって外層が剥ぎ取られた可能性があると考えています。
これまでのところカシオペヤ座Aにおいて伴星の存在は確認されていませんが、佐藤氏は「伴星がブラックホールや中性子星、白色矮星といった天体だったために見つかっていないのかもしれません」とコメント。今回の成果がカシオペヤ座Aの起源を探る研究に新たな道筋を示し、超新星爆発の理解につながることを期待したいとしています。
関連:20周年を迎えた「チャンドラ」が観測し続けている特別な天体
Image Credit: NASA/CXC/SAO
Source: 理化学研究所
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
太陽系でリンが多い理由は新星爆発による可能性、国立天文台が発表
マイナビニュース / 2024年5月14日 12時4分
-
X線宇宙望遠鏡が見た超新星残骸「かに星雲」&「カシオペヤ座A」のタイムラプス
sorae.jp / 2024年4月29日 20時50分
-
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ34周年記念画像は惑星状星雲「M76」
sorae.jp / 2024年4月26日 20時56分
-
銀河系最大の恒星ブラックホール発見 ESAのガイアミッション
財経新聞 / 2024年4月23日 9時16分
-
天の川銀河の恒星ブラックホールとしては最も重い「Gaia BH3」を発見
sorae.jp / 2024年4月22日 21時29分
ランキング
-
1キウイの皮を剥くのが面倒→皮ごと食べられます! 気になる毛の解決法も伝授、ゼスプリが明かすキウイの手軽な食べ方は?
まいどなニュース / 2024年5月18日 7時0分
-
2煮物だけじゃない!スーパーフード並みの栄養価「切り干し大根」の意外な食べ方
週刊女性PRIME / 2024年5月18日 8時0分
-
3軽自動車、20年で6割値上がり 初の平均160万円台が視野
共同通信 / 2024年5月18日 16時51分
-
4「バヤリースオレンジの瓶、製造中止」SNSで拡散 アサヒ飲料「そのような事実はない」と否定
ねとらぼ / 2024年5月18日 11時30分
-
5「ガラケーの使い方が分からない…」スマホ世代の新入社員が訪問先で“やらかした”大騒動
日刊SPA! / 2024年5月19日 15時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください