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暗黒物質や暗黒エネルギーの謎に迫る32億画素のデジタルカメラ

sorae.jp / 2020年9月10日 17時0分

LSSTカメラのセンサー部分。画素数は32億画素(Credit: Jacqueline Orrell/SLAC National Accelerator Laboratory/NSF/DOE/Rubin Observatory/AURA)

こちらはチリのセロ・パチョンで建設が進む「ヴェラ・ルービン天文台」の望遠鏡で使われる幅60cmの巨大な光学センサーで、画素数は32億画素。1つで1600万画素(4000×4000画素)のCCDセンサーが189個(ガイド用のセンサー等も含めると205個)敷き詰められていて、撮影した画像を等倍で表示するには4Kテレビ378台が必要になるといいます。

このセンサーはヴェラ・ルービン天文台が実施する「時空間レガシーサーベイ(LSST:Legacy Survey of Space and Time)」に使われるLSSTカメラに組み込まれるものです。LSSTカメラは全長約3m、幅約1.65mと小型車ほどのサイズがあり、重量は約2800kg。近紫外線、可視光線、近赤外線の観測に対応しています。一度に撮影できる空の範囲は幅が満月7個分で、その高い解像度によって24km離れた場所からでもゴルフボールを識別できるといいます。米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)では、光学天文学用としては世界最大のデジタルカメラと表現しています。

LSSTカメラが撮影できる視野の幅は満月7個分(左)、24km先のゴルフボールも識別できる(右)(Credit: Greg Stewart/SLAC National Accelerator Laboratory/NSF/DOE/Rubin Observatory/AURA)

LSSTカメラは数夜で南天全体を観測することが可能で、10年間に渡り撮影を繰り返し続けます。1晩で取得されるデータ量は約20テラバイト、10年間のサーベイ観測では15ペタバイト(1万5000テラバイト)のデータベースが作成されるといいます。観測データはリアルタイムで処理され、超新星爆発などの突発天体が検出された場合は60秒以内に世界中の研究者に向けてアラートが通知されます。

ヴェラ・ルービン天文台ではLSSTカメラを設置した「シモニー・サーベイ望遠鏡」(口径8.4m)の観測を通して、暗黒物質(ダークマター)および暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の理解や、太陽系の天体のカタログ作成などを目標としており、オウムアムアやボリソフ彗星のような恒星間天体の検出も期待されています。天文台の名称は、銀河の回転速度の観測をもとに暗黒物質の存在を証明した天文学者ヴェラ・ルービン氏にちなんで名付けられました。シモニー・サーベイ望遠鏡の最初の観測(ファーストライト)は2021年に、本格的な運用開始は2022年10月に予定されています。

建設中のヴェラ・ルービン天文台(2020年2月撮影。Credit: Rubin Observatory/NSF/AURA)

 

※初出時にCCDセンサー1つあたりの画素数を「16万画素」と表記していましたが、正しくは「1600万画素」(16メガピクセル)です。訂正の上、お詫び申し上げます。【9月10日18時20分追記】

Image Credit: Jacqueline Orrell/SLAC National Accelerator Laboratory/NSF/DOE/Rubin Observatory/AURA
Source: ヴェラ・ルービン天文台 / NOIRLab / SLAC国立加速器研究所
文/松村武宏

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