非常に変わった点滅をする巨星、天の川銀河の中心近くで発見
sorae.jp / 2021年6月18日 21時3分
イギリスのケンブリッジ大学は6月11日、ケンブリッジ天文学研究所(Cambridge’s Institute of Astronomy)のリー・スミス博士が率いる研究チームが、私達の天の川銀河の中心の近くで、非常に変わった点滅をする巨星「VVV-WIT-08」を発見したと発表しました。研究チームによれば、点滅の原因はまだよく解っておらず、既知の変光星(明るさを変える星)の分類には当てはまらない可能性があるといいます。
VVV-WIT-08は、天の川銀河の中心の近く、地球から2万5000光年以上離れたところにあります。その大きさは太陽の100倍にもなるといいます。
研究チームによれば、このVVV-WIT-08は数十年に1度の周期で非常に特徴的な点滅しているといいます。
例えば、暗くなるとき、VVV-WIT-08の明るさは1/30になり、ほとんど夜空から消えます。
また、VVV-WIT-08は、暗くなり始めてから、再び明るくなるまでに、数ヶ月もかかるといいます。数ある変光星の中でもこれだけの期間減光するものは非常に珍しいです。
研究チームでは、このように非常に特徴的なVVV-WIT-08の点滅は、VVV-WIT-08と地球の間をVVV-WIT-08と連星をなす伴星が横切ることで起こるのではないかと考えています。このまだ確認されていない伴星は、恒星又は惑星で、暗く巨大で長く引き延ばされた不透明な円盤(an opaque disc)を持っていると考えられています。
このような円盤を持つ伴星がVVV-WIT-08と地球の間を横切ることでVVV-WIT-08の非常に特徴的な点滅が起こるのではないかというわけです。
VVV-WIT-08はVISTA望遠鏡を使ったVVV(the VISTA Variables in the Via Lactea survey)のデータを使って発見されましたが、研究チームでは、他にもVVV-WIT-08と同じタイプの変光星と考えられる巨星をいくつか発見しています。
リー・スミス博士はこのタイプの変光星について「その伴星の正体が何なのか、そして、主星から遠く離れているにも関わらず、なぜその伴星にそのような円盤が形成されたのか解明することに挑戦していきたい」としています。
【▲ リー・スミスさんによる解りやすい解説動画】
Image Credit: The University of Cambridge、Amanda Smith
Source: ケンブリッジ大学/論文
文/飯銅重幸
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