米国とUAEの宇宙機関が火星探査ミッションのパートナーシップに合意
sorae.jp / 2022年4月14日 11時27分
アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間4月12日、NASAの火星探査機「MAVEN(メイブン)」のプロジェクトとアラブ首長国連邦宇宙機関(UAESA)の火星探査ミッション「エミレーツ・マーズ・ミッション(EMM)」が、科学的協力と観測データの交換に向けたパートナーシップに合意したことを明らかにしました。
現在、アメリカとアラブ首長国連邦(UAE)はどちらも火星の大気を調べる探査ミッションを実施しており、MAVENとEMMのパートナーシップがもたらす科学的なメリットに期待が寄せられています。
古代の火星は表面に海や湖ができるほどの水があったと考えられていますが、現在の火星は大気が薄く、表面から液体の水も失われています。NASAのMAVENは時間とともに変化した火星の気候についての洞察を得るために、火星の上層大気と電離層を観測しています。MAVENはユナイテッドローンチアライアンス(ULA)の「アトラスV」ロケットを使って2013年10月に打ち上げられ、2014年9月に火星の周回軌道へ入りました。
MAVENの主任研究員を務めるカリフォルニア大学バークレー校のShannon Curryさんは今回の合意を受けて、火星の上層大気と下層大気の結びつきや、上層大気から宇宙空間へと大気の一部が失われることによる下層大気への影響をより良く理解できるでしょうとコメントしています。
関連:小規模な砂嵐でも火星の水は失われやすくなる、3つの探査機による観測成果
UAESAのEMMは、UAE初の火星探査機「HOPE(ホープ)」(※)による火星探査ミッションです。HOPEは火星を約55時間で1周する軌道を周回しており、火星の上層大気と下層大気の関係性をより深く理解するための観測を行っています。
※…アラビア語で「アル・アマル」とも、アル・アマルは日本語で「希望」の意
HOPEは日本の「H-IIA」ロケット42号機によって日本時間2020年7月20日に打ち上げられ、2021年2月10日に火星の周回軌道へ入りました。ちなみにHOPEが火星に到着したのと同じ日には、中国の火星探査機「天問1号」も火星の周回軌道へ入っています。
関連:UAE「HOPE」と中国「天問1号」が火星周回軌道への投入に成功
この画像は、HOPEに搭載されている多波長イメージャー「EXI(Emirates eXploration Imager)」を使って2022年1月5日に撮影された火星です。撮影時の高度は約4万500kmで、HOPEはちょうど明暗境界線(昼夜の境目)を見下ろすような位置にありました。
画像には2つの巨大な砂嵐が捉えられています。1つは幅約2500kmで、東から「大シルチス」(昼側の中央付近に見える南北方向に伸びた暗い地域)に迫っています。もう1つは幅約2300kmで、南半球の巨大な衝突盆地「ヘラス平原」を覆い隠してしまっています。
EMMのプロジェクトディレクターを務めるOmran Sharafさんは、EMMは発足当初から強力な国際協力とパートナーシップによって定義されたプロジェクトであり、他の火星探査ミッションと共に取り組み、観測データを共有することでより深い洞察を導き出し、パズルをつなぎ合わせるための機会を喜んでお受けしますとコメントしています。
Source
Image Credit: NASA, UAESA, Emirates Mars Mission/EXI NASA - NASA, UAE Mars Missions Agree to Share Science Data UAESA - Emirates Mars Mission文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
ロケットラボが「エレクトロン」ロケット通算47回目の打ち上げに成功 韓国の衛星とNASAの衛星を搭載
sorae.jp / 2024年5月3日 11時43分
-
火星での「サバイバル」は可能? 仏研究グループが「宇宙農業」の可能性を探る火星ローバーを提案
sorae.jp / 2024年5月2日 20時45分
-
小惑星の軌道を変えるNASAの実験で飛び出した岩が将来火星に衝突するかもしれない
sorae.jp / 2024年4月25日 21時25分
-
ULAがデルタIVヘビーの最終打ち上げに成功 デルタシリーズ運用に幕
sorae.jp / 2024年4月23日 6時24分
-
火星での生命探査にパラダイムシフトを起こすか 米大学院生が提案する斬新なミッション
sorae.jp / 2024年4月12日 9時22分
ランキング
-
1元ラブホ従業員が語る裏話。モーニングの目玉焼きを「焼かずに提供する」理由は…
日刊SPA! / 2024年5月5日 8時54分
-
2コンビニは「前向き駐車」すべき? なぜ「バック駐車」は推奨されない? “納得の理由”と守らなかった際の「悪影響」とは
くるまのニュース / 2024年5月2日 17時10分
-
3枯れたミントを畑に捨てたら…3年後に「地獄絵図」、 繁殖力に地主も後悔「土の総入れ替えしかない」
まいどなニュース / 2024年5月3日 7時10分
-
4TwitterからXへのアップデートを拒み続けている人に届いたまさかのメッセージ「鳥さんは…」
まいどなニュース / 2024年5月4日 11時30分
-
5なぜ「立体駐車場」ではタイヤが“キュルキュル”鳴る?「特殊な床」が原因なの!? 異音には「部品の劣化」の可能性も
くるまのニュース / 2024年5月4日 14時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください