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電波で捉えた渦巻銀河の星形成現場。ヨーロッパ南天天文台が画像公開

sorae.jp / 2022年6月8日 21時1分

【▲ アルマ望遠鏡(ALMA)と超大型望遠鏡(VLT)が観測した渦巻銀河「NGC 1087」(Credit: ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS)】

【▲ アルマ望遠鏡(ALMA)と超大型望遠鏡(VLT)が観測した渦巻銀河「NGC 1087」(Credit: ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS)】

こちらは「くじら座」の方向約8000万光年先にある渦巻銀河「NGC 1087」です。渦巻銀河の特徴といえば明るい中心部分を取り巻く渦巻腕(渦状腕)ですが、この画像ではNGC 1087の渦巻腕がまるで炎をあげて燃えているかのように、ところどころが赤く輝いて見えます。

画像を公開したヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、この炎のような赤色は擬似的に着色されたもので、分子雲(低温のガスや塵の集まり)が存在する場所に対応しています。分子雲は新しい星が誕生する星形成活動が起きる現場であり、その性質を調べることは銀河における星形成をより深く理解することにつながります。

このNGC 1087の画像は、近傍宇宙の銀河を対象とした観測プロジェクト「PHANGS」(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS)の一環として取得されたものです。このプロジェクトでは銀河における星形成を理解するために、様々な波長の電磁波を使った高解像度の観測が5年以上の歳月をかけて行われました。観測にはアメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)の「ハッブル」宇宙望遠鏡、チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」、同じくチリのパラナル天文台にあるESOの「超大型望遠鏡(VLT)」が参加しています。

画像に使われている分子雲の観測データは、アルマ望遠鏡を使って取得されました。アルマ望遠鏡は一酸化炭素分子から放たれた電波を捉えることで、様々な銀河における分子雲の分布を描き出しています。また、背景に使われているNGC 1087の画像は、VLTの広視野面分光観測装置「MUSE」を使って取得されました。アルマ望遠鏡とVLTの合作ともいえる冒頭の画像は、ESOの今週の一枚として2022年6月6日付で公開されています。

【▲ 超大型望遠鏡(VLT)の広視野面分光観測装置「MUSE」を使って取得されたNGC 1087の姿(Credit: ESO/PHANGS)】

【▲ 超大型望遠鏡(VLT)の広視野面分光観測装置「MUSE」を使って取得されたNGC 1087の姿(Credit: ESO/PHANGS)】

 

関連:グランドデザイン渦巻銀河「M99」ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

Source

Image Credit: ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS ESO - A curled viper

文/松村武宏

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