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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“いて座”の球状星団「NGC 6569」

sorae.jp / 2022年6月27日 22時30分

【▲ 球状星団「NGC 6569」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

【▲ 球状星団「NGC 6569」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

こちらは「いて座」の方向約2万9000光年先にある球状星団「NGC 6569」です。人の目に見える可視光線と赤外線の波長で取得された画像を使って作成されたもので、色は擬似的に着色されています。

球状星団とは、数万~数百万個の恒星が球状に集まっている天体のこと。天の川銀河ではこれまでに150個ほどの球状星団が見つかっています。画像の色は青が可視光線、赤が赤外線に割り当てられていますが、視野を埋め尽くす星々の色の違いは学術的な意味合いだけでなく美しさも感じさせます。

NGC 6569がある「いて座」の方向には、天の川銀河中心部分の膨らみ「銀河バルジ」があります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によれば、NGC 6569のような銀河中心の方向に見える一部の球状星団は、過去の観測では避けられる傾向にあったといいます。

バルジには星々だけでなく、ガスや塵といった星間物質も集まっています。塵には星から放射された光(特に波長の短い青色光)を吸収・散乱させやすい性質があるので、塵は星からの光を遮り、星の色を実際よりも赤っぽく見えるように変えてしまうのです。星の色(より正確には電磁波の波長ごとの強さを示すスペクトル)は星の温度・年齢・化学組成などを調べるために利用されているので、星の進化を研究している天文学者にとって、色が変わってしまうことは大きな意味を持つといいます。

ただし、可視光線の赤色光や近赤外線といった一部の波長は塵を比較的通過しやすいため、塵の向こう側にある天体を観測するのに役立ちます。天の川銀河の中心方向にある球状星団を調査する研究の一環として「ハッブル」宇宙望遠鏡を用いた天文学者たちの研究成果は、過去の観測データのアーカイブを組み合わせることでNGC 6569を含む球状星団の年齢を測定できるようにしたことに加えて、天の川銀河の中心方向にある球状星団の構造と密度を理解するための手掛かりにもなったといいます。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」および「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルター合計3種類を使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2022年6月27日付で公開されています。

 

関連:星がぎっしり詰まった宇宙の宝箱。ハッブルが撮影した球状星団「ターザン9」

Source

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen ESA/Hubble - Delving into an Astronomical Treasure Trove

文/松村武宏

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