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2025年には5人に1人が認知症に!老々介護が進む中、監督責任ってどこまでやればいいの?!

相談LINE / 2015年1月29日 21時30分

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相次ぐ認知症患者による交通事故。特に衝撃だったのは2007年12月に起きた鉄道事故です。徘徊症状があった91歳の男性が電車にはねられ死亡し、名古屋高裁が2014年4月に妻(91歳)に対して約360万円の賠償を命じました。判決によると、夫の徘徊を防ぐべき監督義務が妻に認められたのですが、実は妻も要介護1の認定を受けており、「老老介護」の実態が浮き彫りにされたことで世間を賑わせました。政府はこういった現状に対して、今月27日に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を発表しました。当事者や家族にやさしい地域づくりを目指し、認知症の予防や診断、治療の体制充実が主な概要とのこと。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症と予測されておりますが、益々進む老々介護において、監督責任がどこまで問われるのかということも非常に重要な問題では無いでしょうか。今回はその監督責任や義務について荻原邦夫弁護士に話を聞いてみました。

■この鉄道事故における監督義務者とは誰でしょうか?

本件では、男性の妻ら家族に、不法行為責任が認められるかが争点となりました。不法行為責任とは、他人に損害を与えた場合に発生し得る責任ですが、本来はその行為者が負うべき責任です。本件では、事故に遭った男性になります。

しかし、その行為者に、責任能力がない場合、つまり、精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある場合は、不法行為責任は認められません(民法713条)。責任能力のない者の行為について非難することができず、責任を負わせることが相当でないからです。

本件でも、判決では、男性に重い認知症を認め、責任能力がない状態であったと認定しました。

民法は、このように責任能力が認められず直接の行為者の責任が認められない場合について、その者を監督する法定の義務を負う者が不法行為責任を負うとしています(民法714条1項)。

本件では、男性の妻及び男性の長男にこの民法714条による責任が生じるかが重大な争点となりました。

この責任を考えるときは、第一に、監督義務者といえるか、第二に、監督義務者が義務を怠らなかったかを考えることになります。

第一について、判決は、男性の妻に監督義務者該当性を認め、男性の長男にはそれを認めませんでした。

監督義務者の根拠は、「法定の義務」であり、代表的なものに、成年後見人や精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の定める保護者があります。しかし、本件ではこれらの者はおりませんでした。

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