「生活保護減額の違憲裁判」ーー同じ裁判を全国で何度もやることにどんな意味があるの?
相談LINE / 2015年2月14日 20時0分
生活保護費を引き下げたのは憲法25条(生存権の保障)に反するとして、引き下げ取り消しを求めた集団訴訟が全国で相次いでいます。その数はさいたま地裁の本人訴訟を加えると、現時点で19件となっており、原告団の尾藤廣喜弁護士は「提訴は全国で行われ、原告の合計は500人を超える空前の規模になる」と話しています。
集団訴訟といえば、労働者の整理解雇や情報流出事件などが考えられますが、そもそも集団訴訟を起こすことにどんな意味があるのでしょうか。今回のケースでいえば、生活保護の引き下げ中止が認められ、以前と同様の生活レベルに戻れるのであれば、受給者個人は納得するように思えます。それにもかかわらずどうして全国で提訴されているのか寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
■生活保護引き下げが違憲だと主張する訴えがありましたが、何度も全国各地で提訴することにどんな意味があるのでしょうか?
生活保護費は、各地で金額が異なります。したがって、A県の生活保護費が憲法違反にならなくても、B県の生活保護費は憲法違反に当たると判断される可能性があります。
また、判決の効果は、法律的には、裁判を起こした人にしか及びません。
以上の点から、事実上、以下のような効果が期待されて、複数の県で生活保護受給費削減の違憲訴訟が提起されていると考えられます。
例えば、1つの県で起こされた違憲訴訟について、違憲判決が出た場合、その後判決が下される他の県での訴訟について、その影響で、違憲判決が下される可能性が出てきます。
1つの県だけでなく、複数の県で違憲判決がなされれば、法改正に向けて行政側を動かすことができます。
また、他のすべての県で提訴した生活保護受給者が敗訴したとしても、1つの県だけでも違憲判決を勝ち取れば、法改正に向けての議論につながる可能性があります。
生活保護の切り下げによって苦しんでいるのは提訴した人だけでなく、生活保護受給者全体です。
提訴は、いわばその「代表者」らによるものであり、最終的には、受給者全体が利益を受けることが目的です。
日本の裁判上のルールでは、違憲判決が出たからといって自動的に法律の内容が判決通りに変わるわけではありません。
そのため、法改正がなされて生活保護受給者の経済状態全体が底上げされることを狙って、複数の県で訴訟が行われているといえます。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
生活保護費引き下げ、二審も容認 受給者側が敗訴、大阪高裁
共同通信 / 2024年4月26日 17時4分
-
兵庫の生活保護訴訟、二審も敗訴
共同通信 / 2024年4月26日 15時21分
-
「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月23日 19時57分
-
「サケを獲ることは先住民族の権利」アイヌ民族の先住権の確認求める裁判 原告側の請求を棄却 札幌地裁
HTB北海道ニュース / 2024年4月18日 18時14分
-
CALL4、「労災遺族年金の「男女差別」撤廃を!」訴訟のサポート開始
PR TIMES / 2024年4月10日 17時40分
ランキング
-
1那須・夫婦遺体遺棄事件で急展開 長女の内縁“イケイケ夫”が企んだ「会社乗っ取り計画」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月8日 11時2分
-
2〈那須2遺体〉「俺、この会社辞めるんで。やってらんねえ」逮捕されたやり手の“番頭”は4月に退職を示唆。“ママ”幸子さんは交際を反対?「娘と関根はつきあってない」と周囲に…
集英社オンライン / 2024年5月8日 14時22分
-
3元巨人投手、窃盗疑いで逮捕 ドラフト1位の松本竜也容疑者
共同通信 / 2024年5月8日 16時56分
-
4【速報】死亡したのは無職の25歳の女性と判明 東京・新宿区のタワーマンションで男に刺される 逮捕の男「体を傷だらけにしてやろうと思った」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月8日 18時55分
-
5伊藤環境相が直接謝罪=被害者「前代未聞」と非難―水俣病団体のマイク遮断で・熊本
時事通信 / 2024年5月8日 20時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください