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単純ミスでも重加算税という重いペナルティがかかる事がある?!(松嶋洋)

相談LINE / 2016年3月4日 21時0分

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不正取引に対しては重加算税がかかる、という話はよく知られていますが、単純なミスでも重加算税がかかるとされる間違いがあります。売上の脱ろうというミスです。
売上の脱ろうとは、ある事業年度において計上を忘れた売上につき、翌年度でも売上に計上されない、というミスをいいます。税務調査では、売上を計上すべき年度を間違える、というミスがよく見られますが、このミスであれば翌年度には売上として計上されます。いわゆる、期ずれというミスです。
売上の脱ろうは、期ずれとは異なり、翌年度でも売上に計上されないため見つからなければ永久に売上に計上されない可能性があります。このようなミスであれば、重加算税の対象になると、国税の通達に明確に書かれてあります。

■単純ミスの脱ろうはありうる

とは言え、単に売上代金の集計を忘れるなどして、売上をもらしてしまった、ということは多くあります。私自身も税務調査で経験したことがありますが、脱税をしようなどと全く思っていなかった納税者が、集計をミスして売上の脱ろうで重加算税が課税されたケースがありました。国税の通達に書かれているとは言え、ひどすぎる話と思ったものです。

このような人情はあるにせよ、調査官は国税の通達に逆らうことはできませんので、単純ミスであっても売上の脱ろうがあれば重加算税をかけます。売上は会社で最も重要な数字ですので、もれがないよう、しっかりとチェックする必要があります。

■重加算税には意図は不要?

ところで、売上の脱ろうが重加算税になることに関連しますが、国税は重加算税に不正行為を行う意図は必要ない、という見解を持っています。重加算税の要件は、事実の「隠ぺい又は仮装」とされており、不正を行うという意図については要件にならない、と説明することが多くあります。

しかし、判例などを見ると、この点見解が分かれていますし、重加算税のペナルティーは相当重たいものですから、国税の見解には納得しがたいと考えています。何より、悪いことを考えないで「隠ぺい又は仮装」をすることは原則ないはずですので、国税の見解はちょっとやりすぎと批判されることも多くあります。

■どこまでも交渉しよう

国税の見解が正しいとすれば、非常に多くの取引に重加算税が課税されてしまう可能性があります。重加算税がかかると税額以外にもさまざまな不利益がありますので、脱税行為などは論外ですが、そうでなければどこまでも交渉する必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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