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メールが証拠となったヤフー事件。メール削除が隠蔽か否かの基準(松嶋洋)

相談LINE / 2016年3月7日 20時0分

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先日、ヤフーの組織再編成が合法か否か争われ、国が勝訴した事例があります。この事例においては、その組織再編成が租税回避的なものかどうかが問題になりましたが、国税にとって有利な証拠として、節税を匂わす電子メールの存在があったと言われています。
日々のやり取りの中で、電子メールはコミュニケーションの内容が確実に記録に残ることもあり、安易な節税や脱税を見つけようとする調査官にとっては、税務調査において確実にチェックすべき内容になっているようで、日々のやりとりには注意する必要があると考えられます。

■国税もチェックできる

電子メールですが、私的なものでなければ、事業に関係する資料の一つとして税務調査において国税が確認できる資料に該当する、というのが通説です。このため、仮に調査官に見せるよう指導されれば、それを拒否するのは難しいと言われています。

ところで、仮に税務調査で確認できる資料に該当するとすれば、問題になることの一つに、メールの破棄があります。税務調査で確認できる帳簿などについては、保存年限が設けられていますので、その年限(原則7年)が経過する前に、廃棄してしまえば大変なことになります。加えて、資料を破棄する行為は、重加算税というペナルティーがかかる「隠ぺい」にあたると見られるリスクもあります。

このあたり、明確な見解は出されていませんが、サーバーの容量を軽減したり、機密情報等の漏洩リスクがあるために、機械的にメールを削除したりしているのであれば、特別な情報を隠しているというわけではありませんので、原則として問題にはならないと考えられているようです。

特別な情報を隠していると見られないように、「◯年経ったメールは削除することにしています」といった社内規定等があるとよりいいでしょう。

■特別なメールの削除などには注意

反面、税務署に見られるとまずいから、という理由で特定のメールを削除するなどすると、大きなリスクがあると考えられます。中には、削除してしまえばわからない、とお考えの方もいるようですが、国税は削除した情報を復元するソフトを使って調査することがありますので、注意しなければなりません。

削除した内容を国税に復元された結果、悪質な不正行為が見つかったという事例も多いですから、安易に考えてはいけません。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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