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「主務課」という国税のエリートコースの実態を元国税が暴露!(松嶋洋)

相談LINE / 2016年4月1日 19時0分

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国税という組織において、出世を考える場合には、国税局の主務課という部署に行くことが近道と言われています。主務課とは、法人税の担当であれば「法人課税課」といったように、担当する税目が部署名となった課をいいます。
主務課の仕事は、法人課税課であれば、税務署の法人税部門に指示をしたり、法人税部門の事務のマニュアルを作成したりするなど、すべての税務署の法人税部門を統率することにあります。

■主務課の実態

現場に出ることなく、上から指示するという仕事をするため、現場の職員からは非常に嫌われるのが主務課です。私の経験を申しますと、使い勝手の悪いe-taxという制度を浸透させるため、税務署の幹部職員に営業を命じるなど、まったくもって空気を読まない指示を出して現場の不評を買っていました。

これに止まらず、主務課という部署の職員は、エリート意識が強いからか、聞いたところによると内部ではいじめなどの醜い争いもあるようです。適正公正な課税の実現、という崇高な理念を掲げた組織における、国民の奉仕者であるはずが、その実は張りぼて、といったところでしょうか。

■主務課は報告も管理しているが…

ところで、主務課に対しては、税務署の職員は、税務調査で所定の事績を残すような場合には、その報告も行う必要があります。

例えば、多額の不正取引や、多額の消費税の誤りを税務調査で発見した場合、その事案の概要を主務課に報告することになっています。こうすることで、各税務署から不正事例や多額の誤りがある事例を吸い上げ、ノウハウを職員に共有することとしています。

現職時代、主務課の担当者に事案報告した時の話です。税法を開くこともなく、分かりやすいと評判の「図解法人税」というテキストを見ながら、法律的に正しいかを検討していました。税法を読まずに正しいか判断できるのか、と半信半疑だったことが思い出されます。

■本も実際には書いていない?

なお、分かりやすいと評判の「図解法人税」は主務課の方々が書いていることになっていますが、法律も読めそうにない方々が本当に書いているのか、個人的には大いに疑問を持っています。

仮に、本当に書いているのであれば、間違いがある可能性があり、きちんと精査する必要もあるでしょう。ただし、間違っていたとしても、法律も読めない調査官は分からないかも知れませんが…。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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