「とても濃密だったけど、とても苦しかった」五十嵐亮太が振り返る“メジャーに挑んだ3年間”の葛藤
日刊SPA! / 2024年2月25日 8時53分
大谷翔平が世界の話題を集めている。1964年の村上雅則から始まり、野茂英雄、イチロー、松井秀喜らを経て、ついに日本人メジャーリーガーはここまで到達したのだ。
この60年間で、日本からアメリカに渡り、異国のグラウンドで奮闘した男たちはおよそ70人に及ぶ。彼らが海を渡った理由とは何か? 彼らは何と戦い、何を得て、何を得られなかったのか? 勇敢に戦った男たちの生きざまを追ってゆく。
◆「新しい自分を見つけたい」メジャーでの苦闘
インタビューの間、五十嵐亮太は、「とても濃密だったけど、とても苦しかった」と何度も口にした。メジャーに挑んだ3年間は決して平坦なものではなかった。31歳から33歳までの時期をアメリカで過ごした五十嵐に、メジャーに憧れを抱いたきっかけを尋ねた。
「もともと、ノーラン・ライアン、ランディ・ジョンソン、ロジャー・クレメンス、ペドロ・マルティネスら、好きなピッチャーがたくさんいたので、ヤクルト時代も自分でVHSを買いにいっていました。そこにはファンとしての憧れもあったし、同じピッチャーとして、どうやったら、あんなボールが投げられるんだろう?という思いもありましたね」
1997年、ドラフト2位で千葉・敬愛学園高校からヤクルト入りし、豪速球を武器に不動のセットアッパーとなった。同僚の石井弘寿とともに「ロケットボーイズ」と呼ばれ、球界を代表する人気者となった。順風満帆のプロ野球人生を歩んでいた’09年オフ、五十嵐は海外FA権を行使した。
「いや、決して順風満帆ではなかったです。FA権を獲得する数年前から、もっと新しい自分を見つけたい、という思いをずっと持っていました。真っすぐとフォークだけではない、新しい自分を見つけたいと思っていたのに、なかなかピッチングスタイルを変えることができない。やっぱり、自分の中に甘えがあったし、狭い世界しか知らないから、何かを変える発想力もなかったんです」
◆石井一久、高津らのMLB挑戦が刺激に
相次ぐチームメートのメジャー移籍も刺激となる。’02年には石井一久がロサンゼルス・ドジャースへ、さらに’04年には髙津臣吾がシカゴ・ホワイトソックスへと入団する。
「’07年には岩村(明憲)さんも(タンパベイ・)デビルレイズ(現・レイズ)に入団しました。それに、結局は実現しなかったけど、石井弘寿さんも渡米する可能性がありました。僕の大好きな先輩たちが、こうして行動を起こしている姿を見て、(もしかしたら、自分も……)という思いは、だんだん強くなっていきました」
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