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尾野真千子の“ある部分”をつい見てしまう理由。色っぽい濡れ場でも気になる“場所”とは

日刊SPA! / 2024年3月27日 15時51分

◆尾野真千子という“運動体”について考える

この不思議と心地いい物語を書き、演出を担当した冨永昌敬監督は、ひとりの俳優と唯一無二の物体との然るべき距離と関係性に何を見ているのか。第3話ラスト、朝の食卓で高笑いしながら、漬物をパリパリする小野を見て、思った。

「あ、彼女はコメカミの俳優である」と。ボリボリは鳴らない。しっかり噛んでいるのに、パリパリと軽妙な響き。その分、コメカミが。冨永監督は、尾野真千子という運動体の得体のしれない有機体感を捉えているんじゃないか。

人間の手から手へ投げ出されるように揺れ動く肉の塊も第4話でオダギリが薄ら笑いを浮かべて発進させるブルドーザーも、運動っぽいものはすべて、尾野真千子からニョキッと伸びた手足みたいな働きをする。

ブルドーザーの所有者である土木会社専務の煙草に火を点けるライターもそうだけど、細かな運動がひとつひとつコレクションされて、運動体としての尾野の部品として適宜カスタマイズされてくみたいな。漬物パリパリのとき、ちょっと可笑しな機械仕掛けになっていたのは、まだカスタマイズが完了していない不完全の状態だったからか。

◆濡れ場でもコメカミが気になる…

あれ、冨永監督の他作品、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018年)での小野はどうだったか。末井昭の自伝を原作とする本作では、人妻が他の男性とダイナマイトで吹っ飛ぶ“ダイナマイト心中”を完遂する役柄を演じた。この衝撃的な実話を生きる上で、着物とつっかけで市場を歩く冒頭場面の尾野のスキャンダラスな色っぽさったらない。

色気の出どころを探るべく、触手を伸ばして画面を見つめると、発散場所はやっぱりコメカミなんじゃないかと感じるのはぼくだけかな。子どもたちを追い出し、家に上がり込んできた男に抱かれる瞬間では、コメカミ中心の濡れ場(?)が成立している気がしてならない。

ええい、こうなったら、監督に直接聞くのが早い。実は冨永監督は、ぼくが通った日本大学芸術学部映画学科監督コースの講師。昔のよしみでということで、勝手に妄想した場面の細部について、Xのメッセージで質問を送った。

◆「珍しい肉」と「珍しい漬物」の正体は…

どんな返答だったか。まず、例の猪肉については、「食材は豚肉ではなく『珍しい肉』でしたが、とはいえ豚汁は豚汁であり角煮は角煮なので、尾野さんも私も、特に何も考えていなかったと思います」とのことだ。

やっぱり監督の意図とは違う勝手な妄想だった……。そりゃそうなのだ。現場でそんな変なことをいちいち考えてたら、撮影がとまってしまう。でもここで懲りずに続けるならば、「豚汁は豚汁であり角煮は角煮」という丁寧な記述は、物体(食べ物)の即物的な魅力の演出につながると思うんだよなぁ。もうひとつの即物的物体である漬物はどうだったか。

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