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大規模特殊詐欺「ルフィ」を壊滅させた2人の女②〜ルフィの愛人となった女

日刊SPA! / 2024年3月29日 15時49分

一緒に過ごした時間はわずかだったが、場末の客とは比べものにならないほどカネを持っていた。食事に連れてってもらった店も洗練されていた。渡邉といる時間はそれまでの人生で最も彩りに満ちていた。そして渡邉から何か頼まれると断ることはできなかった。むしろ渡邉に褒められたい、渡邉にもっと近づきたい、恋愛感情を隠せなくなっていた。

 柴田は渡邉と出会ったその日から渡邉の手下となり、「愛人」になったのだった。

 そんな柴田の“情”はすぐに行動に現れた。翌17日に帰国すると、渡邉に命じられるがまま、配下の特殊詐欺集団が集めたカネを日本からフィリピンに運ぶ準備を始めた。最初のフィリピン行きから間もない4月3日には、再びマニラに向かった。

 最初の渡航では小さく軽かったスーツケースが大きなものに変わっていた。日本国内の集金役が集めた現金、数千万円を忍ばせて。

◆リクルーター

 わずか2週間だったが、柴田にとっては長く感じられた。渡邉と念願の再会だった。スーツケースを無事に渡すと、渡邉はとびっきりの笑顔を見せ、柴田を褒めた。

 その姿がまたうれしい。褒められるのはもっとうれしい。何より今度は数日間一緒にいられるのだ。柴田にとっては至福の時間だったに違いない。

 それならば、現金の運び役としてだけでなく、もっと渡邉に貢献しよう。柴田からすればそれは当然の気持ちだった。

 今度は特殊詐欺のリクルーター役を買って出た。SNSを駆使し、特殊詐欺の受け子、出し子を募集。キャバクラで培った気配りが感じられるからか、女性リクルーターに応募者も警戒心が薄れたのか、可愛らしいトイプードルのアイコンを使ったリクルート用のアカウントには多くの若者が殺到し、組織に引き入れることに成功した。

 そんな柴田は渡邉と出会ってわずか3か月ほどで周囲から“幹部”と呼ばれるようになった。一連の柴田の渡邉への献身は異常と言ってもいいものだった。いくら惚れた男のためとはいえ、ここまで犯罪の片棒を担げるものだろうか、筆者にはそれが疑問だった。その手がかりを摑もうと、柴田が多感な時期を過ごした場所に向かった。

◆不仲な家

 東京・多摩地域にある東大和市。南北を走る多摩都市モノレールの駅からほど近いところに柴田の実家が存在していた。しかし、そこは多感だった年ごろの柴田にとっては暗澹たる思い出を紡いだ場所だったようだ。近隣住民が明かす。

「そういえばそういう子いたな、という印象しかないです。少なくとももう10年は見かけていないです。実家もまだあるのか、誰が住んでいるのかすらわかりません……」

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