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32歳自閉症の息子を抱えるシングルマザーが「障害者手帳を取ったら人生負け」の考えを改めたワケ

日刊SPA! / 2024年4月1日 8時52分

 寝たきり生活ですっかり筋力が落ち、トイレに行こうとすると立てなくなっていた。当時の佐藤さんの身長は158センチ、体重は40キロまで落ちた。経管栄養を取ると、見えるところに大きな傷ができてしまうので、それを避けて闘病を続けた。水さえ飲めない過酷な治療で、高校時代の記憶はスッポリ抜け落ちてしまっているという。

「このままだと留年だと言われたので、病院から学校に通学していました。進学校に通っていたため、大学は推薦で、もともと興味があった心理学部へと進学しました」

◆「障害者手帳を取ったら人生負けと思っていた」

 佐藤さんの症状はいったん寛解するものの、定期的に再発を繰り返す。このまま治らなければ、最悪、人工肛門にということもあり得る。そんななかでも大学で軽音部に入り、1年生の時にバンドマンの恋人ができた。

「環境が変わり、好きな音楽に打ち込めるようになりました。だけど、大学時代にも、2回入院しています。お酒や辛いものを控えて、体調をコントロールするんですけど」

 入院は1回に付き2週間ほどだ。再発の原因は不明だ。今はいい薬が出てきているものの、特効薬はない。佐藤さんは大学を卒業するのに5年かかっている。佐藤さんの病状であれば身体障害者手帳を取れたのではないか。

「病院のケースワーカーから障害者手帳と障害年金を受給することを勧められました。だけど、その時は障害者手帳を取ったら、人生負けだと思っていたので、取りませんでした」

◆転機となったイギリスへの留学

 英国ロックが好きだったこともあり、卒業旅行で、単身イギリスに旅をした。それが転機となり、病状はかなりよくなった。

「イギリスでは目的も特になく、音楽を通じて知り合った友だちの家を渡り歩きました。語学留学に行って、初めて自分の居場所が見つかりました。イギリスでは当時まだ日本人は珍しかったこともあり、私はかわいがってもらえました。この経験があったから、後に、自分の子に障害があると分かった時に受け入れられました」

 何があっても前向きに生きていける自信がついた佐藤さんは、シングルマザーで障害のある息子を抱えながらも仕事を続け、2020年に今の法人を立ち上げた。士業や福祉支援者のネットワークを作り、障害者ある子の「親亡きあと」も安心できる準備について、セミナーや個別相談を通して情報提供している。

◆特に営業マンにとってはつらい病気

 佐藤さんは社会に出た後に、結婚・離婚を経験し、現在は障害がある子を抱えたシングルマザーだ。離婚後、生命保険会社の営業職に就くが、その時に潰瘍性大腸炎を抱えながら働くことの大変さを感じた。

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