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電通を退職して海外起業した40代女性。夫の転勤を機にタイへ、居場所のない日々から“運命の出会い”を果たすまで

日刊SPA! / 2024年4月4日 15時51分

「いずれは娘に譲れるくらい長く使えるよう、18金に仕立て直そう!」

◆プロの宝石バイヤーの門をたたく

 そこからバンコク中の宝飾店を巡り、交渉を重ねた。問題は、どの店の誰を信用してよいのかさっぱり見当がつかないこと。2020年12月、SATOKOさんは大胆な行動に出る。バンコク在住のプロバイヤーに直談判し、教えを請うたのだ。

「買い付けに60時間ほど同行して、目利きから商談の作法までみっちり学びました。グレーディングの世界は底なしの奥深さ。タイには日本で滅多に出会えない最高ランクの石や希少石がゴロゴロ流通していて、興奮が止まりませんでした」

 一度興味を持つと、とことん突き詰める性分の彼女は、バンコク開催の日本人向け「宝石鑑別クラス」を45時間受講。宝石鑑定のディプロマ(資格)を取得した。独学でジュエリーデザインを学び、世界最高峰の宝石鑑別機関「GIA」でも学びを深め、いつしか宝石の世界にどっぷり浸かっていた。

◆「石選び」はその人を表す鏡

 2021年10月には第2子が誕生。家事や育児をこなしつつ、宝石の勉強に情熱を注いだ。宝飾品は、ステータスの象徴や富裕層の贅沢品として捉えられることも少なくない。彼女は「そのような考えは否定しない」としつつ、「それ以上にもっと奥深い魅力があるものです」と力を込める。

「石を選ぶ際は、あらゆる感覚を研ぎ澄まし、『これが一番!』と入魂して選び取っています。その1石を使ったジュエリーを身にまとうたび、自分を肯定し、満たすことができると思うのです」

 1500以上のブースや店舗がひしめく宝石市場に毎日のように通いつめ、宝石卸業者やジュエリー職人との関係もゼロから構築。インド系や中東系、アフリカ系など、やり手宝石商との交渉は一筋縄にはいかない。そこで、体育会系の広告業界で培った彼女のサバイバル力は大きな武器となった。

◆「宝石への偏愛」を突き詰めた先で

 しかし当時のSATOKOさんにとって、ジュエリーの勉強はあくまで“趣味の一環”。夫の会社からは2022年末頃に本帰国と聞いており、15年以上携わってきたマーケティングやPRの仕事を愛していた彼女は、そのタイミングで職場復帰するつもりだった。だから、育休の期限が迫るなかで「駐在期間が延びた」と夫に告げられた時は、頭を抱えた。

「このままでは私の人生が、自分の意思とは関係ないところで動かされてしまう。日本での仕事も、タイでようやく手応えを感じ始めた宝石の世界も、どちらも手放したくない。自分の人生の舵は自分で取り、自分で進むべき道を選択したい!」

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