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電通を退職して海外起業した40代女性。夫の転勤を機にタイへ、居場所のない日々から“運命の出会い”を果たすまで

日刊SPA! / 2024年4月4日 15時51分

 そのとき初めて、彼女の中に“起業” の2文字が浮かんだ。頼れる人がいない海外でビジネスを起こすなど無謀かもしれない。それでも……。2023年2月、ついに覚悟を決めた。「私はタイで起業する」と最後に彼女の決断を後押ししたのは、我が子の存在だったという。

「もがきながらも自分を信じて突き進む母の姿が、彼らにとって人生に迷ったときの道しるべになるかもしれない。自由に生きていいんだよって、その背中を押せるかもしれない。そう思ったんです」

◆電通を退職して怒涛の起業準備

 2023年3月、彼女自身の自己資金を元手に、怒涛の起業準備が始まった。コネも情報もないなか、夫や友人に紹介してもらったバンコク在住の日本人経営者数名を訪ね、助言を請うた。

 現地でタイ法人を立ち上げるには、タイ人パートナーに加え、外国人1名に対して4名のタイ人を雇用する必要がある。その採用活動と並行し、法人登記や商標登録、日本でのビザ発行、タイでのワークパーミット申請など、目が回るほど多忙な日々を駆け抜けた。

「毎日がパニック状態でした(笑)。でも不思議と、どんなに疲れていても無限に力が湧いてきたんですよね」

 2023年5月、彼女は17年勤めた会社を退職した。長年背中を追い続けた上司にメールで報告すると、こう返信があった。「相変わらずの好奇心の旺盛さというか、前のめり感の強さというか、”らしい決断”だと思いました。これからの活躍、とても期待しています」。

 そして同月、タイで自身の会社を設立。社名の「KIRANA」(キーラナ)はサンスクリット語で“一筋の光”を意味し、「その人の一番輝くところに光を当てたい」という想いが込められている。

◆バンコク都心の高層ビル内のオフィスを訪ねると…

 取材の日、バンコク都心の高層ビル内にあるSATOKOさんのオフィスを訪ねると、秘書のタイ人女性が「こんにちは」と、堪能な日本語で迎えてくれた。シックな黒のワンピースを纏ったSATOKOさんは、「毎日ドタバタですが、今のほうが自分らしくて楽なんです」と軽やかに笑う。

 彼女が手掛ける事業はふたつ。経営上のリスクヘッジを兼ね、電通時代の知見を活かしたBtoBの「マーケティングコンサル事業」。そして、BtoCの「宝石・宝飾事業」だ。

「宝石・宝飾事業」では、大きく分けて2種類の依頼を受けている。石の買い付けから鑑定、カウンセリング、ディレクションまでのジュエリー制作を一気通貫で請け負うオーダーメイドと、思い出のリングやネックレスのリモデルだ。

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