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「ヒロさんヒロさん!」長嶋茂雄と広岡達朗の知られざる関係性と“野球の神様”川上哲治との確執

日刊SPA! / 2024年4月7日 15時50分

「なんだ、なにか用か!?」
「カワさんも苦労してますね」

広岡はいたずら小僧のように思ったことを口にし、それだけ言って帰ってしまった。

「なんだあいつ」と流せたら良かったが、人一倍プライドが高い川上は「あのやろ〜!」と頭に血を上らせた。

二二歳の若輩者ゆえ、調子に乗っていたと思われても仕方がない。ただ、このときは決して川上を愚弄したわけではない。長兄と同じ年の川上に親近感を持ってかけた言葉だ。しかし、川上はそんなこと知ったこっちゃない。クソ生意気な新人、おまけに六大学出身ということも鼻についた。

人間は相手から嫌われているとわかると自らの感情を変化させる。川上に兄を重ね、慕いたかったはずの広岡。だが、川上から疎まれて嫌がらせをされるようになったことで愛憎一体の感情が芽生え、互いに火花を散らすようになっていくのであった。

「いや〜巨人時代の一三年間は虐められたよ、でもよくやったと思う」

一瞬何か思い詰めたような顔をすぐさま打ち消し、目尻を垂らして笑いながら言った。

【松永多佳倫】
1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て2009年8月より沖縄在住。最新刊は『92歳、広岡達朗の正体』。著書に『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。

―[92歳、広岡達朗の正体]―

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