刑務所ライブ500回超。“受刑者のアイドル”仕掛け人の信念「車と家を売って資金を捻出」
日刊SPA! / 2024年4月28日 8時53分
6人兄弟の一番上だったこともあって、中学生くらいになると家計を助けるために牛乳配達や新聞配達をしていました。同時に、結構やんちゃもしました。貧しかったことで相当プライドが傷つくことが多かったですからね。近所のお母さんから『片山くんと遊んではいけん』と言われた子もいたみたいです(笑)。家で食事ができなくても、小学生の時には学校に行けば給食がありましたので、自分はおかずだけ食べて小さな妹たちに給食で出されたパンを持ち帰って食べさせたことも珍しくなかったです。近所の仲の良い友達とスズメを捕まえて焼き鳥にしたり川で魚を捕まえたり、畑の作物の収穫後の残り物を拾ってきたり、野草を取りに行ったり、とにかく食べれるものを探しに行くことが日常。赤貧を洗うがごとしの貧しい生活でした。
母が歯を食いしばって子供たちのために頑張っている姿が今でも目に焼き付いて離れません。私たち兄弟がその時代を生き抜いて来ることができたのは、貧しくても行儀作法には厳しかった母のおかげです。振り返ってみればあの頃の思い出は苦しくても大切な事がたくさんありましたね」
◆「田舎の不良」だった時代に現在の軸となる気づきが
爪に火を灯すような厳しい生活のなかで、片山氏はたとえ過酷な状況でも誰かしらが手を差し伸べてくれれば、人はまた這い上がれることを知った。同時に、母から言われた言葉も胸に残っているという。
「典型的な田舎の不良でした。15歳で女性を知って、しょっちゅう女性と遊ぶようになると、母は私に『お前は必ず女で失敗するよ。でもそれは自覚しないと周りがいくら言っても直らない』と言いました。当時は気にしませんでしたが、のちのち、妙にその言葉が腑に落ちるようになりました。私の根底には、『人は、最終的に本人が自覚しなければ、良い方向へはいかない』というのがあるかもしれないですね」
犯罪者の更生に限らず、人が立ち直ることについて、周囲の理解と本人の自覚を二項対立であるかのように扱う論調がある。だが片山氏は若い頃すでに、どちらも必要であることを身をもって経験していたのかもしれない。
◆過去の行いは許されることではないが…
その後、当時難関とされた「高等学校の普通科であれば入学させてやる」という父の言葉で奮起し、合格を手にした。生活費を稼ぐため、アルバイトをしながら通った。
「市内を循環するバスの車掌をやっていました。当時のバスには切符を受け取ったりドアの開け閉めをする車掌という仕事がありました。給料がよくて、同じような境遇の学生にとっては奨学金代わりみたいなアルバイトでした。ああいう仕事を与えてもらえるのも、ありがたかったですね。
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