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物価高でも値上げをしない「サイゼリヤ」。コスパ最強であり続ける“50年前から変わらぬ”姿勢とは

日刊SPA! / 2024年5月5日 8時53分

◆100%直営店だから実現できる合理的基盤

 サイゼリヤでそれらを効果的に管理統制するために「計画生産」に取り組んでいるが、これらが実現できるのは「①約1500店のすべてが直営店舗」だからだ。そのため日々の商品販売のデータや客数動向をリアルタイムで管理することが可能なこと。

 そして「②40年以上主力となる基本商品を変えずに販売し、辛味チキン・サラダ・ミラノ風ドリア・ハンバーグといった主力商品があること」である。40年以上売り続けている間に専用農場・専用工場を持てるようになり、販売実績を積み上げることでさらに進化させている。最適な原料を使い、美味しさを磨き上げることを課題に日々改善に取り組み、その結果、顧客に支持されるロングセラー商品を多く出しているのである。

 サイゼリヤでは<自社農場での種や土壌・栽培方法の開発研究、ソースやハンバーグ加工の自社工場の運営、自社工場からの毎日配送など、素材開発から加工機能・製造機能を自社で保有し管理統制>(HPより一部引用)をしている。

 品揃えにおいても、むやみにメニューを増やさず、定期的に季節折々の企画でお客さんの来店を促すなど、身の丈にあった商品開発を心がけているようだ。

◆サイゼリヤの現状:増える海外店舗数と国内客数も回復

 現在、国内店舗数は1055店舗、海外店舗数は485店舗で、海外の店舗数比率は31.5%(23年8月期)である。売上は1204億8200万円(前年比119.1%)、客数1億5158万9000人(前年比116.8%)、客単価795円(前年比102.1%)である。ちなみに、海外の客単価は日本より高く850円である。

 国内の損益状況(2023年8月期)は、

売上:1204億8200万円
原価:514億9400万円(42.7%)
粗利益:689億8800万円(57.3%)
販管費:704億7900万円(58.5%)
営業利益:▲14億9100万円
(カッコ内は売上比)

 となっており、国内の本業の儲けである営業利益は14億9100万円の赤字となっている。この海外事業の黒字に国内事業が助けられているのは周知の事実である。もちろん、国内事業のスケールメリットや最適な仕組みの確立があるから、海外の黒字が実現できている点もある。

 コロナ前の実績(2019年)では、6.1%の営業利益率が確保できているなど収益構造は盤石だった。直近では客数もコロナ前の110%と回復しており、これから、正常運転に戻れば、国内事業の黒字化は期待できるだろう。財務状態はコロナ前(2019年)と比較すると、自己資本比率は14%低下しているが、63.5%と、盤石で経営の安定性に問題はない。

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