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物価高でも値上げをしない「サイゼリヤ」。コスパ最強であり続ける“50年前から変わらぬ”姿勢とは

日刊SPA! / 2024年5月5日 8時53分

 飲食店は人の良し悪しで業績の差が出るもの。サイゼリヤは仕組みや作業手順が明確だから、誰でも新人に教育できるし、新人も覚えやすいから、即戦力化に時間を要さないのが特徴でもある。アルバイトがなかなか定着せず、入れ替わりが激しい中で、新人に教えるわずらわしさが付きまとうが、その解消策にもなる。アルバイト中心の体制だが、みんなやりがいを持ってイキイキと働いている。学生さんにとって、まかないがメニューの半額で食べられるというのも魅力のようだ。

 また、店舗間でスタッフを融通する際も、どの店にヘルプで行っても同じ作業と店内レイアウトだから、容易に作業ができるのはチェーンのメリットであろう。

◆飲食DXを進めるチェーン店が多いなかで…

 最近のファミレスでお客さんの注文は、タブレット端末などデジタル化が当然になっているが、サイゼリヤは紙による注文方式(客がメニュー番号を記入)にしている。

 これは、注文時間の短縮化・オーダーミスの防止などで業務の効率化に貢献しているからである。従業員がお客さんから直接、注文をうかがう時のやり取りに要する時間はけっこうかかるし、従業員の聞き間違いやお客さんの言い間違いから発生する無駄やトラブルはなくしたほうがいいから、紙注文を採用しているようだ。

 付加価値額を高く頂戴する飲食店にとって、顧客との最低限の接客は必要であり、最後の接客機会である会計もセルフではなく人での対応である(昨年末より一部店舗でスマホによるオーダー方式を導入)。

◆アプリもクーポンもなしにしている理由

 多くの外食チェーンが、アプリやクーポンで集客力の強化と顧客の囲い込みを図っているが、サイゼリヤは一切そういうことをしない。

 広告を出さない、クーポン券も出さないのでも有名で、支払いも現金払いが多く、クレジットカードの取り扱いを始めたのも日が浅い。これだけ安いから、クーポン券やその他で店の費用負担が大きくなるようなことまで要求したら厚かましい。過剰な要求をして、サイゼリヤが存続できなくなる方が、客としては損失が大きいだろう。

 お客さんが価値を認めない無駄をとことん削って安く美味しいイタリア料理を提供してくれるサイゼリヤ。人件費や物価などあらゆる経費が高騰し、利益を出せない外食企業が多い中で、顧客から絶対的な支持を受ける経営手法はさすがであり、今後もさらなる成長を期待したい。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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