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「女の子だから」父に褒めてもらえず…“困難な環境”で育った女性画家が強い劣等感を克服するまで

日刊SPA! / 2024年5月12日 15時54分

「女の子だから」父に褒めてもらえず…“困難な環境”で育った女性画家が強い劣等感を克服するまで

大河原愛氏

 画家・大河原愛氏が描く絵は、精神をどこか遠くへ置き去りにするような寂寥感を漂わせながら、同時に人の魂を落ち着かせる力が宿っている。
 2020年には『ブレイク前夜』(BSフジ)で取り上げられ、月刊『アートコレクターズ』(生活の友社)の「完売作家特集2024」では人気作家として名前を連ねるなど、活躍の目覚ましいアーティストだ。絵画だけでなく、桐野夏生『日没』(岩波書店)では装画も担当するなど、その描線が多くの人々を魅了している。客観的にみれば“売れている画家”といって差し支えないだろう。

 だが大河原氏は、戸惑ったように「10代の頃、親からも絵の才能がないといわれ、当時自分でもそう思っていました。幼少期は劣等感だらけのところからスタートして、あの頃は、『絵を描いていなければ自分に生きる価値はない』くらいに感じていたんです」と真顔で答える。彼女の半生を紐解くと、どうしても自分に自信が持てない理由と、画家として描き続けられる理由の双方が浮き彫りになった。

◆「成績優秀な兄」と比べ続けられた

「おそらくそれは、生まれ育った家庭環境に原因があるようにも思うのですが」

 大河原氏の家族構成は、両親と兄がひとり。学生時代の父親は、働きながら妹や弟を高校に通わせるなど、苦労を重ねている。それでいて成績も優秀な人物だったという。当時は、会社員として夜間警備の仕事に従事していた。家庭の経済的事情で進学できず、学ぶことを断念した父親にとっての自慢は、成績優秀な兄だった。

「兄は大して勉強していないのに本当に優秀な人で、いわゆる成績が“オール5”でした。勉強以外に運動神経も良く、父親はそんな兄のことをいつも褒めて自慢していました。そして、そんな兄に対して『東大にいけ』と父はいつも言っていました。結局、持病があった兄は父の反対を押し切り、自ら近くの有名大学に入学しましたが……」

 しかし学業ならば大河原氏も苦手ではなかった。 

「小さい頃は、『兄がいかに優秀か』を毎日のように父から聞かされていました。ただ、自分も勉強が不得手だったわけではなく、兄と比較されたくない思いもあって勉強していたので、成績は良いほうでした。体育は平均的だったので、兄に大きく劣る点はそこだけだったと思います。それでも父が嬉しそうに語るのは兄だけ……。兄ほどでないにしても、なぜ私は同じ点数を取っても褒められもせず、期待もされないのか……と思っていました」

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