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鳥貴族“全品370円均一”に値上げでも「原価率30%を守る」攻めの接客マニュアルとは

日刊SPA! / 2024年5月15日 8時52分

 アプリをインストールした顧客にリピーターになってもらう仕掛けも巧みで、キャラクターのトリッキーを育てるコンテンツや店舗でアプリを提示して食べた串の本数を記録し、貯めると特典がもらえるなどで来店動機を高めている。トリキポイントをためて回せるガチャでも「串」がゲットできるなど特典も充実し、顧客囲い込みには力を入れている。顧客との中長期的な関係性を構築するロイヤルティープログラムが効果的に設計されているようだ。

 通常、新規顧客を開拓するのは、既存の顧客の来店を促進するよりも5倍のコストがかかると言われる。来店された顧客を常連化・固定化させて客数を確保するのは、新規に客を呼び込むコストを考えたら少額の費用で済むものである。それだけに顧客のロイヤリティを高めることが収益力を強化する上で必須だということである。

◆全品280円均一という衝撃

 鳥貴族は、1985年創業し、大阪府東大阪市に1号店を出店。大阪市に本社を置き、大阪・東京・愛知県を中心に居酒屋「鳥貴族」をはじめ、「TORIKI BURGER」「やきとり大吉」を展開している。

 焼鳥をメインとする居酒屋系焼鳥屋「鳥貴族」が中核ブランドであり、1都2府16県に店舗を展開しており、客単価は約2300円、直近では利用者の約75%が20〜30代である。完全子会社であるやきとり大吉を含めると、1123店舗を有する日本最大の焼鳥グループである。

 トータルでは、1134店舗 =「鳥貴族」 626店舗 +「やきとり大吉」497店舗 +「TORIKIBURGER」2店舗 +「その他」9店舗 (2023年7月末現在)である。

 東大阪に1号店を出店し、今年で39年を迎える鳥貴族。余談だが、昔、筆者も鳥貴族1号店の近くで焼肉店を経営していた時、鳥貴族の280円均一を参考に、牛貴族380円均一の業態を開発しようかと笑い話をしていた記憶がある。それだけ鳥貴族の全品280円均一の発想には同じ外食業界の人間として衝撃を受けたものである。

◆コロナ以降も業績好調だが変化も

 鳥貴族の2023年7月期連結業績は、売上334億4900万円、営業利益14億1700万円であり、収益性に関しては営業利益率4.2%となっている。粗利益も234億4300万円あり、約70%確保している。それでも値上げが必要とは将来の外食環境に不安を持っているのだろうか。

 また自己資本比率は35.7%、ROE(株主が出資した資金に対して企業がどれだけの利益を上げているかを示す指標)は9.3%(23年7月期決算)と、資本効率は「業界平均(経済産業省:2022年企業活動基本調査・飲食サービス業5.1%)」を上回っている。

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