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鳥貴族“全品370円均一”に値上げでも「原価率30%を守る」攻めの接客マニュアルとは

日刊SPA! / 2024年5月15日 8時52分

 鶏肉がメインの店だから鶏肉料理の原価率は高めに設定してあるだろうが、その鶏肉料理の粗利益率が低くても、注文を増やし、高回転させれば、粗利益額は大きくなるので、経費の支払い原資に余裕が出て、店にとってもお客さんに嬉しい。

◆居酒屋で注文してくれると嬉しいメニュー

 一般論として飲食店側にとっては、それぞれ原価が異なるメニュー構成の中、焼鳥や唐揚げなど高めの原価商品とキャベツ(お代わり自由)、枝豆、サラダなど低めの原価商品をうまくバランスよく、お客さんに注文してもらうことが利益確保のカギとなる。

 そのための仕掛けが必要で、店への利益貢献度が高い商品への誘導が求められる。適度に野菜を組み入れるなど、食事のバランスをとった注文を促し、顧客満足度を高めながら、店と顧客の双方が良好な関係維持を目指すべきである。70%の原価商品と20%の原価商品の販売バランスの適正化に向け、店は知恵を絞っている。

 鳥貴族は他の居酒屋のようにお客さんが注文をしないのに勝手に有料の突き出しを出すことはしない。その代わり、「料理が出るまでスピードメニューはいかがですか」と必ず、店員さんが推奨販売して注文を促し、客単価を上げる努力をしている。客席への気配りを徹底した攻めの接客マニュアルにもなっており、店側の姿勢で客単価が上がるといった典型的な店でもあるようだ。

◆長期ビジョンを実現する今後の展開は?

 やきとり大吉の完全子会社化で店舗数が一挙に増加したエターナルホスピタリティグループ(元・鳥貴族ホールディング)だが、長期ビジョンを実現するための今後の展開が注目される。やきとり大吉とは同じ焼鳥だから、食材仕入れのスケールメリットがあるのは当然で、それだけではなく色々なシナジー効果を期待したいものだ。

 店舗としての魅力を高めながら、効果的な出店戦略を計画し、国内では市場深耕、海外では新規開拓などの店舗展開力が求められる。鳥貴族は4割近いフランチャイズ店を活用し、本部の投資額と固定費を抑えながら、目標の2030年までに国内1000店舗達成を目指しながら、効果的な出店戦略を策定するだろう。

 この出店戦略は極めて重要で、飲食店は立地産業でもあり、出店場所の良し悪しが栄枯盛衰の分岐点とも言われている。しかし、この出店場所の選定は難しいもので、市場調査(静態人口・動態人口、需要と競争の実態など)を徹底的に行い、業態との適合性も考慮して決定しなければならない。ちなみに鳥貴族もコバンザメ戦略(誰もが知る有名な店舗や商業・観光施設などの近くに出店し、入りきれない客のおこぼれをもらうという戦略)で、ワタミの近くに出店していたことは有名な話だ。 

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