“ユニクロの対極をいく”アパレル企業が、「創業から5年8ヶ月」で新規上場した納得の理由
日刊SPA! / 2024年5月22日 8時53分
◆D2Cのメーカーがしばしば陥る「死の谷」問題とは
前述の通り、ユニクロは万人に受ける製品を作るが、yutoriが展開するブランドはそうではない。同社は個性的なデザインや独特の素材を使用した、独自性の高い22のブランドを立ち上げていることが特徴だ。
そして、 ひとつのブランドを大きく育てると言うよりは小規模なブランドを連続的に立ち上げることを目指している。これは、D2Cのメーカーがしばしば陥る「死の谷」という問題への解決策でもある。
「死の谷」とはなにか説明しよう。
ひとつのブランドの売上が上がれば上がるほど、コアなターゲットではない新たな顧客への訴求が必要となり始め、次第にブランドコンセプトが薄まっていく。
また、立ち上げ時期は創業者であるハイパフォーマーがやりくりできるが、いよいよ従業員を雇い始めると、一時的に組織全体を見たときに一人当たりの生産性が落ちる。加えて、売上があがると競合も増えるため、広告の費用対効果が悪くなっていく。
その結果、売上が上がれば上がるほど利益率が落ちていく現象が起き始める。これが「死の谷」である。
◆「ひとつのブランドに依存しない形」を確立
ただし、単に未来永劫売上が低迷するのではない。そこから利益率は低いものの、売上が拡大し、50億から100億円の売上になったとき、TVCMや芸能人などのマスメディアを利用できるようになると、広告の費用対効果も上がってくる。
すると、スケールメリットが発生し、利益率があがり、この谷から脱出できるのである。だが、yutoriは、すべてのブランドが「死の谷」を乗り越えなくとも全体で売上が立つ戦略を打っている。
事実、yutoriの代表である片石貴展社長も、複数のメディアで「すべてのブランドが売れなくてもよいと思っている」という発言をしている。
つまり、個々のブランドは「死の谷」を乗り越えられていなくとも、3億円ぐらいの売上を10個つくって30億円で売れるという方向性を目指しているのだ。
◆トレンドの影響を受けない体制を確立
ここで、具体的にyutoriが展開しているブランドを紹介しよう。
yutoriのブランドは、「ティーンカルチャー」、「トレンド」、「デザイナーズ」、「インフルエンサー」という4つのカテゴリーに分類できる。
同社はこれらの多様なカテゴリーを通じて、さまざまなユーザーに対して個性豊かなファッションを提案しているのだ。そして、この4分類それぞれにブランドを配置している(M&A含む)。
この記事に関連するニュース
-
ウイスキーが「おじさんのお酒」から激変したワケ 市場復活に導いたサントリーのハイボール秘話
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 8時20分
-
アングル:中国「白酒」が西側進出へ、メーカーは販売拡大に自信
ロイター / 2024年6月29日 8時11分
-
ラーメン業界“閉店ラッシュ”の中で店舗を増やし続ける「丸源ラーメン」。圧倒的な成長を可能にした強みとは
日刊SPA! / 2024年6月26日 8時53分
-
サマンサタバサ「上場廃止」で迎える新たな正念場 憧れの平成ブランド、コナカと統合で復活狙う
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時50分
-
急成長レーザーテック「空売り屋」が標的のナゼ 注目指標「会計利益先行率」ランキングも公開
東洋経済オンライン / 2024年6月19日 8時0分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2尖閣周辺の日本船を名指しで「退去を警告した」、中国海警がSNS投稿繰り返す…実効支配を宣伝か
読売新聞 / 2024年7月5日 15時0分
-
3U30世代に政治参加を促す能條桃子さん「20代の国会議員が1人もいない。だから少子化対策もずれてしまう」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月5日 9時26分
-
4【速報】東京・大田区で住宅火災 100平方メートル延焼中 消防車など41台が出動し 消火活動
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月5日 11時17分
-
5漂白剤が混ざった水を客に提供 福岡市本社のレストラン「ピエトロ」 警察が業務上過失傷害の疑いで捜査
RKB毎日放送 / 2024年7月5日 11時41分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)