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タクシー運転手が遭遇した“神客”。吉原の女性の「素敵な対応」に感動、一方で銀座は…

日刊SPA! / 2024年5月28日 15時52分

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タクシー降車場 ※画像はイメージです

 タクシー運転手をしていると、よく「たくさんの出会いがあるでしょ?」と聞かれる。確かに毎乗務多くの人と密室で接してはいるけれど……。
「こんにちは。ご乗車ありがとうございます」
「……。東京駅」
「東京駅ですね、かしこまりました。八重洲通りから八重洲口でよろしいでしょうか」
「大丈夫です」

 なんて、必要最低限の会話しかできないことが多い。乗客の80%はそんな感じなので、走った道は覚えていても人の記憶は残らない。以前の記事でご紹介したような「テメエなんざぁ、二度と乗せるか!」とイラだつ輩のことは覚えているけれど、そんな記憶をいつまでも残しておくのは精神衛生上よろしくない。

 どうせ残すなら良い思い出だけにしたい。そこで今回はこれまでに出会った「素敵な・楽しい・嬉しい」お客さんについて書いてみよう。

◆呼ばれた瞬間から人柄がにじみ出ていた女性

 春の昼下がり、アプリで呼ばれた先は上野のお寺。40代の女性からの依頼だった。すぐに向かうと、さらに追加情報として「お寺の入口で待っています。よろしくお願いいたします」と丁寧な言葉が送られてきた。

 こういうメッセージを送ってきてくれる人は滅多にいないので、どんな人が待っているのか興味津々だった。きっと上品な奥様風の方なのかと想像しながら到着すると、まさにその通りの女性が待っていた。ゆっくり車を近づけると、スマホの情報と車を見比べながら、少しはにかむように会釈をされた。まるで映画のワンシーンのように思えた。

 ドアを開け、挨拶しながら名前を確認すると「〇〇でございます。よろしくお願いいたします」に始まり、乗車中は窓から見える景色の話題など、こちらを気遣うかのように話題を振ってくる。そして降りる時も「いろいろお話できて楽しかったです。またよろしくお願いしますね」と大人の素敵な言葉。ぜひまたお会いしたいと心底思った。

◆私も接客業だから、わかるわ

 江戸の昔から遊郭として名を挙げた吉原。当時は江戸の文化の中心で、遊女の最高峰花魁ともなれば、時代の最先端を行くスターだったと伝えられている。そして現代もここには複数のソープランドが建ち並んでいるわけだが……。

 周辺を走っていると、このエリアを行先に指定する若い女性が乗ってくることがある。こちらは「きっとお店の子だろうな」と思うが、あえて口にすることはない。近くに来てもお店の名など固有名詞は口にせず「このあたりでよろしいですか」と確認し、送り届ける。ある意味、こちらが気を使う。

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