キャリア14年の“現役弁護士”が芸人になったワケ「揺れ動く心も含めて、ネタにしていきたい」
日刊SPA! / 2024年6月1日 15時52分
表現者として特に意識したのは「場数をこなすこと」だという。
「彼女と別れた後に、とあるシンガーソングライターと交流があって、その人の影響をすごく受けたと思います。月に10本〜20本もライブをする人で、とにかく多作だった。ライブをあまりやらないミュージシャンは割といるんですけど、その人を見て自分も最低、週に一回はライブをしたほうが良いと思いました。人前に立つ機会をなるべく増やしたほうが、表現が磨かれていくと思ったので」
◆突如現れた、お笑いへの道標
「安定」を捨てた頃から、ライブでの手応えが変わってきた。特に2019年に初めてワンマンライブを開催した頃から、クリエイティブな業界で活躍する人々からのフィードバックをもらうことが増えたという。
「ギアを入れ替えて1年くらいで、エンタメ業界の大物がライブに来てくれてコメントもしてくれるようになって、すごく嬉しかった。ちゃんと評価してくれる人が出てきて、表現者として認められた気がしました」
そんななか、お笑いに転向するきっかけは突如訪れた。
「2022年頃に『法廷の座る位置』という曲をライブで披露したとき、法廷画家に描いてもらった絵を出して、フリップ芸のようにして歌っていたら笑いが起きて。その頃から、お笑いのほうに行ってみたら?とお客さんや周囲から勧められるようになったんです。売れそう、テレビにすぐ出られそうなどと言われ、自分でも、お笑いに行けば、より多くの人に曲を聴いてもらえるのではと思いました。ちょうど事務所の近くにタイタンの養成所があり、そこでオーディションをしていたので、軽い気持ちで応募してみたんです」
オーディションでの藤元さんの評価は高く、すぐに事務所主催のライブへの出演機会を得た。その後、養成所でも優秀な成績を収め、修了生から1組だけが選抜されて出演できる「タイタンシネマライブ」にも出演した。
◆笑えない事情を笑いに変えたい
まさにトントン拍子で芸人となった藤元さんがネタづくりにおいて心がけている点は、「深刻な状況をひっくり返すこと」だという。
「弁護士って依頼者だけではなく、自分自身もすごく追い詰められるんですよ。目の前で依頼者が泣いたり、下手すると亡くなってしまうような重い案件もザラにある。そんな状況を、曲の中で反転させることができれば面白いと思ったんです。また、世間では悪とみなされたりマイナスに評価されているようなことが法的には全然違っていたりもするので」
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